住宅雑誌「チルチンびと」74号掲載 設計 加藤 武志
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いない山奥で妻とキャンプをしま した。一晩中、火をくべながら、 二人っきりでゆっくり過ごす……。 時おり、狼の遠吠えが聞こえて怖 かったんですが(笑)」。時は流れ、 今はデッキで遊ぶ子どもたちの可 愛らしい声が薪ストーブ越しに聞 こえる。  進学のために上京して 20 余年、 ほぼずっと吉祥寺に住んでいると いうご主人。徒歩圏内で何でも揃 う繁華街でありながら、井の頭公 園という大きな公園もあり、「便 利さと豊かな緑の両方が得られる のが魅力」と語る。この街で家を 建てるに当たっても、「いちばん の望みは、緑や太陽、風など自然 とつながっていることを感じなが ら暮らすことでした」と振り返る。  この思いに応えたのが、建築家 の加藤武志さん。ポイントは2階 リビングとデッキだ。I邸では、 緑を豊かにするため敷地の3分の 1が庭になっている。その分、建 物に使える敷地は限られるが、家 族がいちばん長い時間を過ごすメ イン空間のリビングを2階に。さ らに大開口部を通じて広いデッキ へと視線を伸ばすことで、実際の 右上から時計回りに /デッキのテーブルは「ふだんから朝食を食べたりするのによく使っています。夏場は灯油ランプを点けてディナーをすると最高!」とご主人。 /デッキには薪棚も。 /テーブルは日干しにも活用。 /干したカブをソテーする。 /デッキと室内はフラットにつながり、内外が一体に。 かけがえのない 火を囲むひと時 36  

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