金箔
その昔から富と権威、また永遠と不変の象徴である金。ハレの時空間を装飾するときに、そして寺院建築や仏像彫刻に、金箔を施した装飾は欠かせない役割を果たしてきました。石川県金沢市はその生産の99%を占めるとされ、これは加賀藩主・前田家が工芸や茶の湯などの庇護に努めさまざまな文化を成熟させたこと、当地の気候風土、そして極限の繊細さを必要とする箔の製造に北陸人の持つ忍耐強さが適していることなどに由来すると言われています。
昭和初期に創業し、中尊寺金色堂や西本願寺など重要文化財の修復に使われる金箔を手掛ける一方、金箔の魅力を生かした器やアクセサリー、インテリア、化粧品や食品を数々産み出し、コンセプトがそれぞれ違う店舗展開をしている「箔座」の本店で、広報部の四十万谷昌代さんにお話を伺いました。
金箔の製造は厚さ約1,000分の1mmの上澄(うわずみ)を生産する澄職人と、この上澄を小片にカットし「箔打ち紙」に挟んで10,000分の1~2mmにまで打ち延ばす箔職人の2段階に分かれます。箔職人が手掛ける工程で最も重要なものは、じつはこの箔打ち紙の仕込み。手漉きの雁皮紙を、水や藁の灰汁・柿渋・卵などを用いて丹精し箔打ち紙に育て上げます。打ち紙の良し悪しが箔の仕上がりを左右するため、打ち紙の仕込みができるようになって初めて職人として一人前とされます。この箔打ち紙は、金を打ち、力が弱まると仕込みを重ねて何度も使います。やがて箔打ち紙としての役目を終えた紙は「ふるや紙」という良質のあぶらとり紙になります。
何十年経っても褪せない絢爛な輝きを支えているのは、職人さんたちの手によるたゆまぬ地道な紙仕込み。そのことを知ると、金箔の放つ光が一層しなやかで美しいものに感じられます。
箔磁「耀房(きぼう)」 150,000円(税別)
*箔磁…箔座本店開店25周年を記念して、奈良雄一氏(能登デザイン室代表)による箔ならではの表情と造形美にこだわったプロダクトデザイン、箔座の純金プラチナ箔と箔押技術、陶磁器メーカー「NIKKO」の焼成技術が融合して生まれた革新的なオリジナル磁器。
箔座本店
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