がま口
口金が蝦蟇(がま)の口のように開くことからその名がついた「がま口」。「パチン」と留め金ひとつで開け閉めができる使い勝手の良さと、出し入れしやすい口の大きさで、財布やポーチなど身近な和小物として定着していますが、元は明治維新による欧米文化の伝来とともに持ち込まれたもの。明治政府の御用商人、山城屋和助が西欧諸国で大流行した鞄や財布を日本に持ち帰り、これが本格的な日本の鞄づくりの始まりともいわれています。そのころ日本で小型紙幣が発行されたのに伴って、それまで「懐中信玄袋」を財布として用いてきた人々の間で札入れが大流行したのもがま口人気の追い風となりました。当初は口金部分を錺屋と呼ばれる職人が作る真鍮製の高価なものが主流でしたが、明治の終わりには手頃な価格と使いやすさで庶民の間に浸透しました。その後、大正時代の洋服の実用化と女性の職場拡大とともに口金付の鞄が流行したり、戦時の物質物価統制令により袋物に厳しい時代が訪れたり、戦後の技術の進歩によりさまざまな新しい素材を使った袋物が誕生したりと、時代の変化に合わせてがま口も進化を遂げました。
平安神宮や美術館、図書館、動物園などが立ち並び文化観光の中心地となっている岡崎に本店を構える「あやの小路」は、現代の暮らしに合わせた新しいデザインを次々に生み出すがま口専門店。大正の英文学者・厨川白村の旧邸宅を改装した和モダンな店内に、何百種類というがま口が並びます。製作は生地の裁断から縫製、口金入れまで経験豊かな職人の手によるもの。この道50年、京都府の現代の名工に選ばれた林一男さんの監修の元、新しい職人たちも育っています。生地には滋賀県高島で江戸時代から続く高島帆布をはじめ、帯地や縮緬など幅広い素材を用いています。手仕事の伝統と温もりを大切にしながら、若い世代にも受け入れられるデザインは、再び西欧でも注目を浴びるなど、新しい文化を作り続けています。
帯地 風車シリーズ
3.3寸がま口財布 1,944円(税込)
TAWARA型がま口ペンケース 3,132円(税込)
横長がま口ハンドバッグ(小) 6,480円(税込)
等
AYANOKOJI 岡崎本店
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