お香
日本最古のお香に関する記述は、『日本書紀』にある「595年4月、沈水(じむ:ジンチョウゲ科の樹木に樹脂が凝結したもの=沈香)が淡路島に漂着し、島人がこれを薪とともにくべると、よい香りがしたので朝廷に献上した・・・」というもの。実際にはそれより少し前の仏教伝来の頃に大陸から伝わったと言われています。以来、仏教儀礼や宮中行事において様々な形でお香が用いられ、次第に人々の生活空間の中でも楽しまれるようになり、一部は香道などの芸道へと発展します。いつの時代もお香は日本文化の一翼を担い、日本人の暮らしを豊かに彩ってきました。
宝永2(1705)年に創業して以来、300余年にわたりお香を作り続けている「松栄堂」。御所の南側に位置する京都本店の玄関には、入る前から芳しく品の良い香りが漂います。一階は初心者から本格的な香道に関わる人まで、誰もが楽しめるような様々な種類のお香や道具が並び、二階では原料となる沈香や白檀などの香木や、桂皮、丁子、乳香など世界各地で産出される天然香料が展示されています。ここでは職人の手技で一本一本丹念に仕上げられていくお線香づくりの過程を、予約すれば誰でも見学することができ、周辺の学校の社会科見学にも利用されています。また、身の回りや思い出の匂いと向き合って、「香り」への意識を少しでも高めてほしいという思いで始めたエッセイコンテスト「香・大賞」は30年目を迎えます。地域に根差した多彩な活動に、日本の「香りの文化」を大切に守りたいという願いを感じます。
芳輪 堀川(渦巻)直径 約55mm/専用香台付/10枚入 3,024円(税込)
香老舗 松栄堂 京都本店
〒604-0857 京都府京都市中京区烏丸通二条上ル東側
TEL:075-212-5590
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