筆
筆作りの歴史は古く、新石器時代末期の仰韶文化(ぎょうしょうぶんか)の時代(B.C.2500年頃)の土器に筆のようなもので書いたと思われる文様があったといわれています。実際には甲骨片に書き残された文字などから殷(B.C.1700~1100年)、現存する最古の筆は楚(~B.C.223年)の「長沙筆」、また秦の将軍蒙恬(もうてん)が始皇帝に数種類の獣の毛で作った筆を送ったのが始まりとされる説も有名です。日本では正倉院に残る「天平筆」が現存する最古のもので、文献では奈良時代から国内で筆がつくられていたようです。以降、空海により大陸の高い技術が伝えられ、全国各地で筆が作られるようになりました。
富岡鉄斎、武者小路実篤、谷崎潤一郎と錚々たる文人画家の顧客を持ち、150年の暖簾を誇る「香雪軒」では、現在5代目主人の長岡輝道さんが、書き手の好みや癖を理解し、それを職人に伝えて都度改良しながら、個人で書を楽しむ人からプロの書家、画家まで顧客一人一人に合わせた筆を作り続けています。書き味に合わせて鼬、兎、玉毛(猫)、狸、鹿、羊毛(山羊)、貂などの毛を使い分け、軸には兵庫や岡山産の女竹や矢竹等、尾締めには麻糸、接着には漆などを用い、「毛炊き」から「銘入れ」までおおまかに20もの工程を経て、一本一本丁寧に手作られています。毎年11月から店頭に並ぶ、その年の宮中の歌御会始の御題から連想される色で毛を染めつけた「御題筆」は、訪れる人々の目を楽しませ、筆のある生活への扉を開いてくれます。
御題筆 1,400円(税別)
※11月中頃~1月末頃までの期間限定販売。
香雪軒
〒604-0912 京都府京都市中京区二条通河原町東入ル
TEL:075-231-1695 / FAX:075-231-8768
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