深草団扇(ふかくさうちわ)
天正年間(1573~1592)の頃から、「深草の真竹を使い、団扇づくりをせよ」と、時の御上の命を受け、奈良団扇などをもとにうまれた「深草団扇」。さらに寛文元年(1661年)、京都深草・瑞光寺の元政上人が、それまでよりも少し縦長で美麗な棗(なつめ)型の団扇を考案し、これが世間を風靡しました。「元政上人様と歌仲間だった先祖が、表には花鳥風月を、裏には和歌や俳句が書けるように無地で仕上げました。親孝行な方で、お母様を扇いで差し上げるためにこの団扇を考えられたそうですよ」と語る小丸屋十代目の住井啓子さん。
丸亀団扇や岐阜団扇のルーツにもなった深草団扇は、国産真竹のしなやかさと粘りに加え、柄の幅が広くて丈夫なのが特徴です。明治から大正にかけては60万本ほども作られていましたが、団扇文化が衰退してしまった現在も、花街の芸妓さん舞妓さんが、夏のご挨拶に名前を入れてお得意先へ配る「京丸団扇」として引き継がれています。平安神宮近くにあるこちらのお店の玄関先には、美麗な図柄や朱の名入り団扇がずらりと並び圧巻です。2階の作業場では祇園祭に向けて5~6月が製造出荷のピーク。骨の一本一本の検品に始まり、気温や湿度、素材によっても糊の濃さや種類を変える職人の確かな技と感覚で、伝統を守り続けています。
環境にやさしい節電アイテムとしていま再び注目を浴びている団扇ですが、その役割は涼をとるばかりにとどまりません。炊事や祭り、調度品にと季節を問わず人々の暮らしを支え、彩りを添えてきた大切な道具であったことを、小丸屋の団扇は思い出させてくれます。
深草団扇
【お多福】 8,400円 【桔梗】 7,350円 【棗型】 7,350円 【萩】 7,350円 【朝顔】 7,350円
京丸団扇
オリジナル名入れ 2,100円~
小丸屋 住井
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