お櫃(ひつ)
江戸時代、深川(現在の江東区森下〜住吉〜木場周辺)には大きな貯木場・木場が設けられ、日本中から良質な木材が集まりました。そんな土地柄ゆえ、深川界隈には昔から多くの桶職人がいたといいます。
江東区・扇橋に店を構える明治創業の「桶栄」も、木場から原木を仕入れ、桶をつくってきました。中でも得意とするのはお櫃。原木の玉切りから、仕上げの磨きまで、全工程を手道具のみで行っています。
丈夫で長く使えるように、使用する木材にも徹底的にこだわります。写真の「江戸びつ」は、樹齢およそ300年になる、木曽の天然サワラを使います。サワラは水に強く、香りは控えめ。丸太を玉切りし、クレシゲという湾曲したナタで板状に割ってから、半年ほど天然乾燥させ、やっと製作に入ります。
桶栄で使うのは木の心材のみ。その中でも加工の途中で割れが入ってしまう部分もあるので、結局、江戸びつの素材となるのは原木の半分くらいだといいます。とは言うものの、歩留まりも大切。仕入れた原木をなるべく有効利用したいけれど、品質は落とせない。「毎回そのせめぎあいですね」と四代目の川又栄風さん。
江戸びつは木のほどよい厚みが特長です。これが適度に水分を調節し、ご飯をおいしく保ちます。側の下部には持ちやすさを考えて花びらのような形が彫られています。細部までていねいな仕上げに、細やかな職人仕事を感じます。
江戸びつ・七寸(φ21cm、2合用)~
参考価格 36,750円(税込)~
※写真は九寸(φ27cm、7~8合用)
しゃもじ(檜) 2,100円(税込)
桶栄
〒135-0011 東京都江東区扇橋1-13-9
TEL/FAX :03-5683-7838
HP :http://www.okeei.jp/