酒樽
樽と桶の違いは、固定された蓋があるかないか、ただそれだけです。年輪に沿って小割りにした板を竹釘などで円筒状に組み、竹や銅のたがでぎゅっと締めて、底板を入れる。木の樽や桶は、乾燥させてしまうと収縮し、水漏れしやすくなりますが、たがを締め直すことで長く使い続けることができます。落語などによれば、昔はたがを締め直す「たが屋さん」と呼ばれる職業があったとか。
京都で江戸中期に創業し、現在のあるじ、林たか子さんで七代目を数える「おけ庄 林常二郎商店」。大きなガラス窓の前に木肌もすがすがしい桶を幾段にも積み重ねていますが、この窓はいわば素朴なショーウィンドウ。若い人が興味津津に入ってきてお櫃(ひつ)を買っていったりします。茶道用の水張り桶から風呂桶までを製造販売していますが、「外材はアクも匂いもきついから」、いずれも国産材を使用。耐水性にすぐれ、香りのよいマキは釣瓶(つるべ)に。香りが控えめなサワラはお櫃などに。そして、手ざわりがやわらかく赤身の木目が美しい杉は、写真のような酒器になります。写真では大きく見えるかもしれませんが、右端の角樽(祝い樽)は3合用で高さ20センチほど。左端はおちょこの容量と同じ2勺枡です。
冷酒、または人肌に温めたお酒をまろやかにしてくれると、祇園のバーでも傾けられているミニ酒樽。京都の夜に、木肌がほんのり香ります。
おけ庄 林常二郎商店
〒605-0811 京都府京都市東山区大和大路四条下ル4丁目小松町140-3-1
TEL :075-561-1252
H P :http://www.eonet.ne.jp/~okesho
※ 角樽(並小)は1万4700円。角のない日常使い(小)は7500円。いずれも税込価格。