石川県編 その五

白山市は、石川県の南部、日本三大名山の白山を有し、県内最大の手取川の流域、自然あふれる所です。その山側に位置するパーク獅子吼に2018年6月にオープンしたばかりの白山キッシュハウスQUIを訪ねました。
キッシュはフランス・ロレーヌ地方の郷土料理。生地の上に、卵と生クリーム、チーズをいろいろな素材とともに載せて焼き上げたもの。QUIではこの生クリームの代わりに豆乳を使用しており、土台の生地は白山生産の米粉(精米・玄米)二種類。フランスのキッシュの料理方法をベースにしたオリジナルのキッシュになります。地元の農家さんの野菜など白山の材料を使って毎日焼き立てを約20種類提供しています。
ベーコン・ポテトのほくほくキッシュ(450円)、レンコンとお豆腐のみそキッシュ(470円)、アボカドとしらすのキッシュ(500円)、夏野菜いっぱいのラタトゥイユ(420円)、卵ときのこのハーブ・キッシュ(400円)などデリ系のキッシュのほかに、リンゴといちじくのレモン煮キッシュ(400円)などデザート系のキッシュも。飲み物やサラダとともに店内での飲食はもちろんお持ち帰りもできます。
店内は明るく大きな梁が交差する天井の高い古民家は木の香り。木のテーブル、椅子、木のトレー、大きな窓からは緑があふれて、よい気が充満しているように思いました。

オーナーは高田慈之(たかだ・よしゆき)さん。実は高田さんはかつて金沢市内で「ラフェスタ」という知る人ぞ知るお店をされていたのです。1980年代後半から1990年代は、金沢の街中には人があふれておりました。個性的なマスターがロックやジャズが流れるこだわりのお店を経営する中、ブラジル音楽好きな人達が夜ごとに集まる店、それが「ラフェスタ」でした。アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトのボサノバが流れ、ノリノリのお客さんが踊りだすことも。小さな店内のぐるりと囲まれたカウンターの真ん中に立つマスター「タカちゃん」。その包容力のあるトークとおいしいお料理に酔い知れ、時が経つのを忘れる名店でした。その人柄をかわれて白山ろくの石窯ピザの食工房と木工房の「もく遊りん」の立ち上げに関わり、長年店長として勤めを果たしました。定年後にその近所に今回キッシュの店をオープンしたのです。音楽好きな高田さんだから、もちろん店内でのライブの企画もあります。地元を拠点に活動する音楽家のフリーライブやイベントなどの予定もあります。
「ラフェスタ」当時からの優しい笑顔は30年前から全く変わっていないように思います。人とのつながりを大切にしてきた高田さんだからこそ、たくさんの人が出会い交流するスペースになるに違いありません。これからも皆が高田さんの新しい展開に注目しています。