福島県編 その二

 はじまりの美術館の猪苗代から西へおおよそ25キロ移動し、今度は会津若松市へ。会津漆器の世界に新風を送る蒔絵作家をたずねました。会津漆器は16世紀後半にはじまり歴史的には輪島塗や津軽塗よりも昔にさかのぼります。多くの伝統工芸がそうであるように後継者は不足しているのが現状です。
 平成15年より伝統工芸の後継者を育てようという取り組みがはじまりました。会津漆器技術後継者訓練校では蒔絵専攻と塗専攻があり、毎年4人ずつが技術を学んでいます。二瓶由布子(にへい・ゆうこ)さんもそこで蒔絵の技術を習得した数少ない後継者の一人です。

ほくるし堂ほくるし堂ほくるし堂

 「もともと父親が蒔絵師だったんです。絵が好きだったのでこの世界に入るのは抵抗はありませんでした」
 蒔絵というのは漆を絵具のように見立て土台の漆塗りの器に図柄を描いたり、金粉を蒔いて加飾する技法です。二瓶さんは伝統的な図案はもとより、べこやこけしを自分なりの可愛い絵柄でお皿やお箸に描いています。

 北欧が大好き。ウエブサイトには、「とうほく×ほくほく×ほくおう」のコトバが並んでいます。
 「北欧を旅した時に会津ととてもよく似ていることに気が付いたんです」
 雪に閉ざされる北欧の冬。デザインは軽やかでシンプル、華やかな色使いになっています。「暗くなりがちな生活を少しでも楽しく明るく、という工芸家の知恵が現れているんです」だったら、会津の工芸もそうであってもよいのでは、と考えて、暗く沈みがちなイメージを明るくくつがえそうと、北欧のデザインを参考にしながら、自分でも気持ちが上がるものを描こうと心がけています。

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 仲間とのシェアアトリエは吹き抜けの共同のスペースに大きなテーブルがありました。ミーティングをしたりお客様をお迎えしたりできるようになっています。
 「地道に仕事をしてよいものを作っていく。それが私の仕事だと思っています。気負いすぎずコツコツと、ですね。同世代の人たちに漆のことを知ってもらうためにも、発表の機会をどんどん作ろうと思っています。使ってもらうことで多くの人の生活を明るくするお手伝いができたら嬉しいです」