福井県編 その五

 出会う人々の温かさが心に沁みる福井の旅。南条郡の山中から今度は一乗谷朝倉氏の遺跡を目指し車を走らせました。福井市の南東、一乗谷にある朝倉氏遺跡は、戦国時代に朝倉氏が103年間越前の国を支配した城下町跡です。1967年から20年あまりかけて武家屋敷・寺院・町屋・職人屋敷や道路に至るまで町並がほぼ完全な姿で発掘されました。中でも一乗谷の領主であった5代目義景が住んでいたとされる館跡の庭園は、日本最古の花壇と言われます。使われている石の配置などを見ているうちに何か荘厳で恐ろしい霊気に覆われ土地に残る地霊を感じます。

一乗谷朝倉氏遺跡一乗谷朝倉氏遺跡一乗谷朝倉氏遺跡

 
 重々しい遺跡をあとに永平寺町のcafé chottoに向かったころにはもう日も暮れかかっていました。店主酒井さんのお祖父さんが住んでいたというこの家は10年間空き家になっていたところを2011年にカフェに。お母さまが育てているブルーベリーやいちじくをふんだんに使った手作りのクラフティ、シフォンケーキ、豆の焙煎にこだわったコーヒーは、訪れる人を口福へと導いてくれます。「ここに飾ってね」、と近所の方が古い着物を持って来てくれたり、どこかの家から出てきた道具類を上手にインテリアに使ったり、この町とこの民家に縁のあるものがたくさん。ショップには本や雑貨が並んで、くすっと笑えるお値段。アンティークの可愛い釦なんかが10円!原価は誰にもわからないのに、正直な方なんだなあ、と。ここでは「人間とは何か?世界写真展」という気になる写真集を家人へのお土産に購入。「夜ちょっと一人になりたい時に、訪れてくれたら。」という配慮から営業時間も夜21時まで。(4月から11月)ソファにまったりと座りアルミのプレートで運ばれてきたゆず茶と、手作りのチョコレートクッキーを味わいながら旅の最後をじわっと思うのでした。
 
café chottocafé chottocafé chotto


 
 さてさて、金沢に戻った私はさっそく写真集について調べてみました。写真展は1965年8月東京銀座の松坂屋百貨店で行われたもの。本は丸善株式会社より刊行されたものでした。30か国264名の写真家による555枚の作品が掲載され、ネットでの価格を調べると私が買った値段の三倍以上の値がしています。すごく得をした気分とともに、福井の人々の優しいお顔が浮かんで、感謝の気持ちに包まれました。

 福井県編 終わり
 次回は福島県編がはじまります。どうぞお楽しみに。