福井県編 その三

 福井県はあわら市、三国湊町と続いている旅、その間に雑貨屋さんやカフェなど、ちょっとしたお店でたびたび目につく色鮮やかな包装紙、ポップな柄の手ぬぐい。これはいったいどなたがデザインを?と気になっていました。その主は福井で生まれ、地元を拠点に活動しているウィギーカンパニー・黒田美恵(くろだ・よしえ)さん。彼女のアトリエにお伺いしました。おみくじ、かるた、のし袋、ポストカードなど、どれも遊び心たっぷりのものを見せていただきました。
 
 日本文化が大好き。「着物の銘仙の大胆な色と形の取り合わせに心底ほれ込み」、影響をうけた。最近は「万葉集」に魅せられ和歌のイメージを図案に。地元ではもちろん、関西、関東でも展示会を開催しているとか。なるほどこんなポップな図案ならいまどきの女性たちにも日本の古典がすーっとはいってくるなあ、と納得。最近は1925年に創業した越前織の老舗「松川レピヤン」からの依頼があって、ポーチのデザインを。「オミアシポーチ」は女性の足が素材になっています。「自由になんでもやってください、と言われて本当に楽しめました。」彼女の図案によって、伝統が軽妙にデザインされていきます。


 
 「わたしは図案家だと思います。」と黒田さん。図案という言葉は明治時代に「イラスト」を和訳したもの。もちろんその当時は、図案帳は和綴じ。薄い和紙に繊細な図案があって、めくっていくたびにふんわりとした紙の風合いを感じました。「イラストレーターでもデザイナーでもない、紙の手触り感も楽しむ感性が『図案』という言葉。」とウィギーさん。なんだか納得です。
 
 自然と水、恵まれた環境。余計な情報に惑わされずに制作できる福井。最近は越前和紙を使うことも多くなってきて、この土地の利を感じるとか。ウィギーカンパニーの感性でいろいろな分野にアイディアの幅がひろがっていくのを感じます。これからの活躍が楽しみです。