三重県編 その六

さて、三重県はいよいよ伊勢市に⼊りました。勢⽥川沿いの商⼈町伊勢河崎は江⼾時代から⽔運を利⽤した産業で発展してきました。伊勢湾を渡っ て来るお伊勢さ ん参りの⼈々をもてなし、客⼈に物資を供給する『伊勢の台所』として栄えました。伊勢市の中⼼を流れる全長7キロ余 りの勢⽥川の両側に広がる町並みは切妻、妻⼊り(家の屋根の三⾓の⽅を⼊り⼝としている)の町家が並び、荷下ろしし た荷物がすぐに商家の軒先に並べられたとか。なるほど八百屋さんと、となりの民家との間の細い路地の隙間の向こうに川が見えています。ここから荷下ろしをしていたのですね。今は川の利⽤は無くなったものの、当時の⾯影が残る町並みには、古い蔵 を利⽤した「伊勢河崎商⼈館」や「古本屋ぽらん」カフェ「河崎蔵」などのお店がオープンし観光客を楽しませています。そぞろ歩きが楽しい通りは観光客でにぎわっています。「蔵」に朝早く入ってみますと、常連客の方々が何人かいらっしゃいます。ご近所の高齢のおじさまがカウンターにて何やら食べ物のご相談。長年のおなじみさんの健康状態や近況のお話しをされています。メニューのコーヒーは同じく伊勢河崎の自家焙煎のなかむら珈房さんのコーヒー豆だそうです。

河崎蔵

河崎蔵さん

古本屋ぽらんさん

古本屋ぽらんさん

河崎かわら版

河崎かわら版

「NPO法 ⼈伊勢河崎まちづくり衆」が発⾏している「河崎かわら版」7⽉号は商店の紹介と「伊勢のだいどこ市」「河崎天王祭」(祭神として須佐之男命スサノオノミコトを祀っている。)など の⾏事の案内のほか、江⼾時代の古地図や書籍が紹介され歴史をたどる読み物としても楽しいものでした。200号になろうとするかわら版は我が町の歴史を伝えて⾏こうとする河崎商⼈達の⼼意気が伝わります。河崎商人館では和歌、俳句などに親しんだ文人としての記憶を伝える古文書や裏千家ゆかりの茶室などを見ることができます。

そろそろ終盤に近づいてきた三重の旅。最後に伊勢神宮を参拝し、旅の無事に感謝します。太古の記憶が現代の 私たちにどのように受け継がれているのか、各地を訪ね歩いて確かめようとする旅。そして⾦沢で⽣まれ 育った⾃分の原風景を知ろうとする旅。三重県の町家の風景と出会った⼈々の温かさが⼼に染みています。ありがとうございました。

伊勢河崎 八百屋さんの隙間

伊勢河崎 八百屋さんの隙間

伊勢河崎町並

伊勢河崎町並

伊勢神宮

伊勢神宮

予告 次回からの遺伝子の風景は北陸は福井編です。お楽しみに。