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不思議なオジサン

今井里砂(イラストレーター&オブジェ作家)
1985年~1991年在籍

私にとって、セツ先生は、セツ・モードセミナーという、アートスクールの先生以上に、身近な存在だったのです。それは、私が生まれる前には、先生の旧アトリエの上に、両親が住んでいたからのお話ですから。ほぼ間違いなく、運命的な出会いなのです。私の父(今井 清)は、当時、アド・センターという、会社をやっていたのですが、その関係で、物心ついた頃から、いつも、ご飯を食べに来る、不思議なオジサンが、第一印象でした。何と言うか近づけない、オーラを放っていて、正直な所、子供の私は怖かったのです。
 お正月には、必ずいらっしゃるのですが、とてもじゃないけど、「お年玉頂戴!」なんて、言える雰囲気じゃなくて、私は、このオジサンは、子供心に、只者ではない事だけは、感じていたのです。母に言わせたら、「りさは、セツ先生に、おむつ変えてもらってたのよ!」なので、今も、何だか複雑な気分です。(笑)

只、小さい頃から、お絵描き大好きな私は、一個だけ先生に話しかけられるツールを持っていたのです。家とか、幼稚園とか、学校で描いた絵です。私がビクビクしながら、自分の描いた絵を持ってゆくと、大好物の大根の葉ご飯を食べていても、手を止めて、私の絵を、笑顔で見て下さりました。で、何か言うかと言うと、何もおっしゃらずに、返して頂くのです。でも、学校の図書館で、モディリアーニの画集とか、マティスの画集とか、好きで何時も見ていて、それを参考に、母の日のプレゼントに描いた、似顔絵を絶賛して下さり、珍しく、頭を撫でて頂いた事、子供の私には、この不思議なオジサンが、誉めてくれたのだから、とてつもない、自信を持った事を思い出します。
 好きな絵が、益々好きになり、父が「りさが、大きくなったら、セツ・モードに入学するよ!」と、言ったら先生が、「その頃には、死んでるよ!」と、会話していた事を、今も鮮明に覚えています。中学の頃、父が海の近い所に、家を建てたのですが、よく、珈琲と、特別な蜂蜜を持って、お泊まりにいらっしゃいました。

先生の淹れた珈琲は、格別に美味しかったです。只、困った事に、先生がお風呂に入る時、ドアを全開で入られているのを目撃してしまい、中学生の私は、キャーと、悲鳴をあげて、その反応に、先生が、お風呂場で大笑いされていて、その後、どういう表情で、接してよいか、真剣に悩みました。(笑)やがて、私はセツに入り、コーヒーガールをやりましたが、先生が、階段を降りてくると、「こらっ!お前っ!ママは元気か?」と、耳を引っ張られました。
 やがて、公募展で大賞をとり、イラストの仕事に携わる事となり、子供の頃から、セツ先生に、絵を観ていただいたので、生まれた頃から、セツ先生の影響を受けられた環境に感謝します。セツ・モードセミナーは、閉校しましたが、私の人生において、今も影響力のある人生の師に、出会えた事は、私の財産です。また、父が「長沢節先生を偲ぶ会」のパンフを編集させて頂けた事、娘として、最高の名誉です。

 

長沢節先生を偲ぶ会

 

5 Comments | RSS

  1. 星信郎 より:

    セツ先生の昔々のことが分かって面白かったです。

    里砂さんのセツ同期だった沢山の人達、皆さんどうしてるかなあぁ 懐かしく思います。

    • 中西悠花 より:

      星先生、ご無沙汰しています♡わたしも里砂と同期です。25日最終日にセツ先生展に行くので、星先生のこと検索していたらここが見つかりました。お元気でいらっしゃいますでしょうか?
      里砂のこともずっとずっと気になっていたので、嬉しいです!!

  2. 今井里砂 より:

    星先生、その節は、お世話になりました。最近、このタイミングで、父の資料が沢山でてきて、びっくりしております。
    なんか、天国で父とセツが、楽しく、会話しているようで、不思議な気分ですね。

    • 中西悠花 より:

      里砂、覚えてる?こんなとこで連絡していいんかな?セツで同期で午後部でモデルだった神戸のYUKAです。里砂のことずっとずっと気になってたの。ここで見つけた♡

  3. 星信郎ゆう より:

    中西悠花さん、 お久しぶりです、数年まえから年賀状をやめてしまって失礼しつますが、まあまあ元気に暮らしてます。
    北村範史くんがやってるデッサン会に毎週一回参加して楽しんでます。酒井君も一度来てましたよ。 悠花さんもお元気そうで良かった良かった。

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