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セツのエッチ科

中里 照美(占星学・タロット占い)
1969年~1974年在籍

現在、私は瑛利奈という名前で占いの仕事をしています。セツの時に目指していたイラストレーターへの道に挫折した結果なのですが。高校時代の私もやはり挫折の連続でした。もとは音大の受験生でしたが、不登校(当時はそんな名前はありませんでしたが)となり、高校卒業も覚束ない状況。卒業後は当時の言葉でいうモラトリアムに陥っていました。そんな時に中途から入学するため、私はセツの土曜科に入ったのでした。土曜科というのは社会人の人が多く通う週に一回土曜だけのクラスでした。当時の土曜科はすでにイラストの仕事をしている人や独自の世界を持っている人が多く、担当は小泉寛明先生で、私はすっかり魅了されていきました。

他の執筆者の方のコラムにも「セツには自由があった」との言葉が多いですが、私が通っていた時代にはセツ先生はまだまだ若かったんでしょう。「大人の社会の常識をぶっ壊そう!」という気骨ある発言が多かったですね。夏休み前になると「夏休みはセックスをいっぱいしよう!」と黒板に書いてあったり、宿題は「異性の友達のヌードを描くこと」だったりと、かなり先鋭的でした。そんなセツ先生の言葉は私達生徒の心に素直に浸透していったものです。

当時のセツ先生はエッチな話がお好きでした。というよりも授業のテーマとして、エッチに関するあらゆることを私達にレクチャーしてくれたものでした。「不倫は文化」ならぬ、まさに「セックスは文化」と教えられました。中でも私はセツ先生に「お前はセツのエッチ科だ」とレッテルを貼られるくらいエロスをテーマとした絵ばかり描いていました。私がヌードばかり描いているので、初川先生からは「なんで洋服着たの描かないの?」とお説教されたこともありました。

セツ先生が語った私が最も大切にしている言葉は…「描くことは人前にチンポ広げて見せることと同じよ」
卑近な言い回しではありますが、「表現者たるものは自分の恥部を晒すべし」という名言です。てらいもなくすべてを開示すること。私がセツで学んだことはこれに尽きます。私が占い師として現在仕事をできているのも…こんな人間だから、みなさんが自分の心の奥まで開示して打ち明けてくれるのかもしれません。

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「瑛利奈の山手タロット館」
http://elina.org
 

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  1. 星信郎 より:

    照美さんお久しぶり!
    セツ先生のH談議はずいぶん聞かされましたね、あの調子は最後の最期まで変わらなかったですよ。 人間の性を包み隠す文化が大嫌いで、自由平等が大好きで、お上品が大嫌いで上品が大好きで。 あの時代は面白かった。
    セツ先生の肖像画、なんとなくスマルオハラさんの感じがあって素敵です。
    占い? 人生占い僕も占って欲しいが、それがもうどうでもいい歳になってしまった。

    • 照美 より:

      星先生!さっそくコメントありがとうございます!
      セツ先生のH談議は最後まで続きましたか!そう、「お上品が大嫌いで上品が大好きで」、面白い!(笑)
      そしてまた、エッチとかエロは大好きで、猥褻は大嫌いでしたよね。
      星先生、占いにも興味がおありですか?是非星先生の星(あれれ?笑)を観たいです~!
      個人情報、教えて欲しいですぅ。(^.^)

      照美

  2. 内川瞳 より:

    照美さ〜ん。星先生が先に書いてくださった書きやすくなりました。お上品が位で上品が好きって、なるほどですよね。星先生たら短くうまいこといいますよね〜
    私の記憶ではエロスの話と言うよりも、エロスというと芸術的だけど普通にエロ人間でもものの言いようで高尚にも見える天才でもあったセツ先生。黒板に夏休みの宿題と言ってスローガンを上げちゃってくれた話は初耳でドキドキしちゃいましたよ。セツ先生のイメージが〜と。そうだったんですね。星先生が言うのだから間違いないですね。ただ何を言ってもイヤらしくならない隠さない物言いは私も何と無く受け次いでしまった生徒のひとりです。
    セツ先生の卑猥話の面白い話は又聞きだけどジンジロゲ関係の西田サンがらみの面白く可愛い話、知ってるのだけど此処には書けないの。まだ勇気がない。ナンチャって、、、、。

    • 照美 より:

      内川瞳さん、コメントありがとうございます!
      夏休みに「セックスをいっぱいしよう!」と黒板に書いてあったのは私がセツに入学して、たしか最初の夏休みだったようhな。
      その頃、たまたま他の学校の友達をセツへ連れて行ったら「何て学校なの!」とやっぱり驚いていました。
      星先生のお話だとセツ先生は最後までH話を続けておられたとのことで、安心しました。(笑)
      エロ人間である…ということは天才の条件かもしれないなぁ…。などと、考えています。

  3. reika oguri より:

    私も最初は土曜科からでした。加藤範子さん(イラストレーター)という超特急にデッサンのウマイひとがいました。ほかにもステキな絵を描く先輩がたくさんいて土曜科はとても刺激的でした。
    エッチトークからそれました。スイマセン

    • 照美 より:

      oguriさん、コメントありがとう!
      そうそう、加藤範子さんは超特急級でしたよねー。あと、私が深く影響を受けたのは石畑賢慈さん。
      石畑さんは若くして亡くなってしまい、寂しいですねぇ。
      ほかの土曜科の人達とはあれから殆ど連絡を取っていないので、このページを探してくれたら嬉しいな。
      小栗さんの最近のイラストも検索したらいっぱい観ることができました。
      これからも頑張ってくださいね!

  4. 87 より:

    初川先生のお説教がウケました!ありがとうございます。

    • 照美 より:

      87 さん、こんにちは。
      そんな調子で私は結構評判は悪かったですよ。
      水彩のときも何故かモデルさんがヌードになっていて、「あれえ?ヌードだ!」とか、言われたこともありました。(^^;

  5. 井出千昌 より:

    エリナさんのお話を読んで、「セツ先生のお家のトイレにはドアがない。ひとりで住んでいるんだから必要ないと設置しなかった」という話を誰かから聞いた記憶が蘇りました。実際そうだったのかな♪

  6. つねちゃん より:

    初めて聞く話、そんなことあったんですね。
    あの頃よくあっていたのに、全然しらなかった。
    わたし、きっと、ボーとしてたんだね。
    でも楽しかったね。

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