第十一話 庭と人

私が庭をつくるにおいて最も意識している事は住む人と庭の関係です。
まずは会話をして住む人を知ることが庭と住む人を近づける一番重要な部分であると考えます。
そこから生活や好み、庭づくりの目的を聞き出来る限り無理のない継続できる庭を作る事で、住む人も庭に流れる時間と共に成長していくと思うのです。
庭は建築と違い植物や木という命あるものを使う事から庭が出来てもそれは完成へのスタート地点に立ったに過ぎません。
四季の移ろいを感じ手入れを楽しんで長い付き合いして頂く為にも、住む人との会話をもとに喜んでもらえる様、精一杯庭を作る事を大切にしています。
また、庭は住む人の物だけでなく、もっと広い地域や風景に繋がっていくものだという意識をもって地域との関係性も考えます。
庭を作る事は未来に繋げていく事でもあり、その土地が少しでも美しく、住む人の生活を少しでも豊かなものにする事が私の考える庭づくりです。
 
西村直樹
 
 
庭と人
 

11回にわたって、三重県の西村直樹さんと庭について考え、実際に庭をつくりました。
西村さんには、庭作りが全くの初心者である私のつたない質問にも丁寧にお答えいただき、庭づくりにまつわる思想や、実践を教えていただき本当に勉強になりました。
西村さんのおかげで小さな坪庭が完成しました。
金沢町家のささやかな庭が思索とやすらぎの場所になりました。これから四季折々の植物の変化や成長を楽しむ生活は私にとって楽園のように思います。
ご縁あってこの場に集まってきた庭の木々、苔、石などが出会いから年を経てゆるやかにこの庭でなじんでくれることを願っています。
この出会いに心より感謝し、Nガーデントークの最終回といたします。
ご購読いただきましてありがとうございます。

 
庭と人