news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

送電線の電磁界による健康影響と国内外の対応―その3―

2017年12月のトピックをお送りします。今回のトピックは、前回に引き続き、送電線の電磁界曝露による健康影響防止に関する諸外国の対応について紹介します。予防的観点から対策を進めている諸外国として、前回はベルギーとフランスにおける対応状況を紹介しました。今回は、ドイツ、オランダ、イギリスの対応状況を紹介します。

1)ドイツ
ドイツでは法令で、1キロボルト以上の電圧を有する送電線施設の新設や改修時には、最先端技術を用いて電磁界曝露を最小限に抑えるよう定めています。高電圧の送電線を敷設する経路を計画する際には、住民が長期間滞在する建物の上を送電線が横切らないように計画されます。電磁界曝露の最小限化は、住民が一時的に滞在することを意図した場所を除き、住宅、病院、学校、保育施設、遊び場など、住民が長期間滞在する場所に適用されます。電磁界曝露の最小限化手段は、費用、機能性、環境負荷、福祉、労働安全性を考慮して検討されます。送電線の新設に関しては、住民が長期間滞在する場所では0.3μT(マイクロテスラ)以下にするなど、さらに厳しい措置が適用されている地域もあります。

2)オランダ
オランダでは、年平均で0.4μT(マイクロテスラ)を超える高圧送電線が敷設される地域では、小児が長期間電磁界に曝露する状況が生じないよう、国が地方自治体や電力会社に助言しています。この助言は高圧送電線だけに適用され、小児白血病との関係が疫学的に示されていない他の電磁界発生源には適用されません。

3)イギリス
イギリスでは、送電線による電磁界曝露を低減する位相整合の最適化など、低コスト対策の実行が推奨されています。また、イギリス政府は、住宅と送電線の間に立入禁止区域を設置することで、電磁界曝露をさらに低減するよう検討していますが、まだ実行計画はない状況となっています。
 

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