news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

ドイツの室内空気質ガイドライン-2014年以降-

ドイツでは、1996年以降、継続的に室内空気質ガイドラインを策定しており、本トピックでたびたび紹介してきました。前回は、2014年4月のトピックで紹介しました。今回は、その後に策定された新しいガイドラインを紹介します。以下の7物質になります。

1)1-ブタノール(2014年策定)
CAS No 71-36-3
ガイドライン1:0.7 mg/m3
ガイドライン2:2.0 mg/m3

2)1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(2014年策定)
CAS No 872-50-4
ガイドライン1:0.1 mg/m3
ガイドライン2:1.0 mg/m3

3)酢酸エチル(2014年策定)
CAS No 141-78-6
ガイドライン1:0.6 mg/m3
ガイドライン2:6.0 mg/m3

4)トリクロロエチレン(2015年策定)
CAS No 79-01-6
20 μg/m3(100万分の1の過剰発がんリスク)

5)2-ブタノンオキシム(メチルエチルケトキシム)(2015年策定)
CAS No 96-29-7
ガイドライン1:0.02 mg/m3
ガイドライン2:0.06 mg/m3

6)2-クロロプロパン(2015年策定)
CAS No 75-29-6
ガイドライン1:0.8 mg/m3
ガイドライン2:8.0 mg/m3

7)キシレン(2015年策定)
CAS No 1330-20-7
o-キシレン(CAS No 95-47-6)
m-キシレン(CAS No 108-38-3)
p-キシレン(CAS No 106-42-3)
ガイドライン1:0.1 mg/m3
ガイドライン2:0.8 mg/m3

ガイドライン2は健康影響ベース、ガイドライン1は予防のためのガイドラインです。ガイドライン2を越えていたならば、特に、長時間在住する感受性の高い居住者の健康に有害となる濃度と判断されるため、即座に濃度低減のための行動を起こすべきと定義されています。

ガイドライン1は、長期間曝露したとしても健康影響を引き起こす十分な科学的根拠がない値と考えられています。しかし、ガイドライン1を越えていると、健康上望ましくない平均的な曝露濃度よりも高くなるため、予防のために、ガイドライン1とガイドライン2の間の濃度である場合には行動する必要があると定義されています。

従って、ガイドライン1が、長期間曝露による健康影響を未然に防止するうえで目指していくべき室内空気質といえます。
 

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