news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

米国環境保護庁による新しい大気中オゾン濃度の基準

米国環境保護庁(USEPA)は、環境大気中のオゾンが健康に及ぼす影響に関する科学的知見に基づき、オゾンに対する大気環境基準(National Ambient Air Quality Standards : NAAQS)を現行の75ppb から70ppbに引き下げると発表しました。

USEPAのオゾン濃度の基準は、1年間のうち上位4番目の日の8時間平均値を3年間平均した値が70ppmを超えないこととなっています。

新基準の策定にあたっては、2008年に実施した前回の見直し以降に発表された研究論文を評価したうえで、環境大気中のオゾンが呼吸困難や気道の炎症などの呼吸器疾患の原因になることを示す知見がさらに蓄積されたことが考慮されています。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息を有する人たちは、大気中のオゾンへ長期間曝露すると病状が増悪することも考慮されました。

この基準によって、有害大気汚染物質に対して脆弱である、小児、高齢者、喘息等の呼吸器系に疾患を有する人たちをこれまで以上に守ることができると考えられています。

USEPAは、以前は1時間平均値のオゾンの基準120ppbを策定していましたが、長期間曝露した際の影響を重視し、この基準を1997年に廃止しました。

日本では、光化学オキシダントの大気環境基準が1時間値で60ppbとなっており、1973年に策定されています。光化学オキシダントは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質で、オゾンとは厳密には異なります。光化学オキシダントの重要な発生源の1つは、二酸化窒素と揮発性有機化合物が大気中で反応して生成されることによるものです。

2005年に公表された世界保健機関(WHO)の空気質ガイドラインは、8時間平均値で100マイクロg/立方メートル(約51ppb)となっています。

近年諸外国では、オゾンの長期間曝露による影響を重視するようになっています。
 

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