水無月 2018

まだ家内工業が必要とされていた1970年代のはじめ、硝子管を切って花器もできるよ、という職人さんと巡り合う。金沢大学病院の路地裏で病院や学校からの注文に応じて、すぐに適えられるようにと、様々な硝子管が壁に立てかけられていた玄関先、こんな仕事は私の時代でもう終わりですとお聞きして、最後のお客さんだったかも知れない若かった私と小父さんとのやりとりが彷彿とする。

数十年ぶりに箱から取り出してみると、何時まで経っても仕舞った日のままの硝子器、なんだか愛しみが湧き、空気中に弾む蔓性植物を手におさめて誰にともなくこれでいいですか?という気持ちを添えて挿す。

花材:あけび、むべ、ばら、山帰来、野イチゴ、硝子器

あけび、むべ、ばら、山帰来、野イチゴ、硝子器

あけび、むべ、ばら、山帰来、野イチゴ、硝子器

あけび、むべ、ばら、山帰来、野イチゴ、硝子器