江分利満家の方かい 山口正介

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ここからしばらく、庭にある池について書いてみたいと思う。最近はビオトープなどといって自宅や公園に自然を模した池を造るケースも多いからだ。
 年末に公共の大きな池の水を抜いて、外来生物を駆除する、というテレビ番組を観た。これを“カイボリ”という。かつては河川の一角を仕切り、そこに魚を追い込んだり、入った魚を捕獲することをカイボリといわなかっただろうか。多摩川の河川敷周辺では子供たちが夏休みなどにやっていた。
 その番組をみて驚いたことに、現在、日本に住む鯉は琵琶湖に住むノゴイ以外はすべて外来種だということだ。
錦鯉は生産性を高めるためにドイツ鯉を掛け合わせたということは知っていたが、一般河川に住む真鯉もすでに外来種との交雑種になっているのだろう。それとも、そもそも真鯉も固有種ではなかったのか。

 - 私と女房とで、苦心さんたんし、遂に百匹の鯉を三十匹ぐらいに減らすことが出来た。そこに、いま、四百匹のタナゴと、十匹のハヤがいる。一匹のソウギョがいる。あとは、クチボソとドジョウとデメキンである。(『男性自身』第396回「ハヤ」)
 と瞳は書いているのだが、小さな池に、鯉が百匹は、いくらなんでもオーバーだろう。最大で十センチぐらいの稚魚が三十匹ほどであったか。瞳が書くように、三匹二千円程度のものを小遣いをためては十匹ぐらいづつ買い足したのだった。
 変奇館の池は半地下部分にガラス窓があり、水族館のように魚を横から観察できる。
 鯉を売っている養魚場では淡水魚一般も売っていたので、バラタナゴを五十匹ほど購入した。群れて泳ぐタナゴを横からみると婚姻色がでたときなど、素晴らしく美しいのだった。プラケースに泥を入れて、二枚貝も購入して繁殖を試みたこともあった。
 表題にもなっているハヤも十匹ぐらいいただろうか。これも脇腹に赤い婚姻色がでたときなど、ひどく見栄えがする。

 しかし、あるとき、瞳が、「正介さん、ハヤが真っ赤ですよ」と言ったときは驚いた。ハヤはいつも通り地味な青灰色だったからだ。もしかしたら糖尿病が悪化して、眼底出血でもおこして赤く見えるのではないかと、僕は心配になった。
 いまでも、なぜあのとき、瞳がハヤが真っ赤だと言ったのか謎のままだ。先入観が強い人だから、そう見えたのだろうか。