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イギリスのテラスハウスの一例
イギリスのテラスハウスの一例
日本式外開きの玄関ドアの収め方
日本式外開きの玄関ドアの収め方
日本式外開きの玄関ドアの収め方
日本式外開きの玄関ドアの収め方
日本式の引き戸の入口、左側の小さな板戸は躙口(にじりぐち) と呼ばれる茶室への入口
日本式の引き戸の入口、左側の小さな板戸は躙口(にじりぐち) と呼ばれる茶室への入口

イギリス都市部の庶民が暮らす住宅地を歩くと、よくで出くわすレンガなどで作られたテラスハウス。道路に面して同じような意匠のドアと窓が連続してならんでいますが、場所に依っては一軒ずつ色が違っていたりします。日本で言えば長屋なのですが、貧乏臭い感じはうけません。どの家も道路に面したドアと並んだ大きな窓にはカーテンが両側に束ねられ、セティやチェストなどの家具、絵画や写真、花などがディスプレイされています。ピアノや弦楽器がおかれている家があったり、家人が雑誌やテレビを見ながら寛いだりしていることもあります。

 

日本だったら往来の目を気にしてレースのカーテンなどが引かれるところなのでしょうが、ここでは何処も開けっ放し、滅多なことではカーテンが引かれることはありません。カーテンの役割は窓枠を彩るためのもので視線や光線を遮ることは二の次なのです。部屋の中は外から見られることを前提としたインテリアとなっていて、窓枠は絵や写真を飾る額縁と同じ役割で部屋のインテリアを切り取り、一枚の絵のように見せています。こうしたことからも前回お話ししたセミパブリックな空間ということが伺い知れます。

 

そういう空間では、屋内にいても外のカフェで寛いでいる時と意識は変わりません。往来の知り合いに窓越しに軽く話しかけたり、気軽に中へ招き入れたりします。そんな雰囲気をさらに醸成するのが、ドアの開き方。日本では玄関ドアは外開きですが、西洋では内開きが基本です。ダーティーハリーがドアを蹴破って犯人を追いつめられるのも、西洋式だから。日本だったらこうはいきません。

 

日本の玄関ドアが外側に開くようになった一番の理由は、雨じまい。屋内に水が流れ込まないように床に勾配をとると、ドアの下に隙間を空けなくては内側に開けません。吹きかけた雨が風圧でドアの下から侵入してくるのを防ぐためには、段差を付けて戸当たりとする必要もあります。そうなると、扉を内側に開くのは不可能になります。さらに、ドアの可動範囲の他に靴を脱ぎすてるスペースを確保すると、かなり広い三和土(たたき)が必要になってしまうのです。このような理由から、日本に入ってきた西洋式の玄関ドアは外に開くようになったのです。

 

外開きのドアだと、訪問者はドアの前に立ってノックをしたり呼び鈴を押した後、開くドアを避ける為に一歩下がることになります。屋内の人は手を伸ばしてドアを押し開きます。すると互いの間には微妙な空間が開いて、かしこまった他人行儀に感じるような気がします。内側に開けば、外の人はドアの直近に立ったまま中の人はドアを引きながら体を入れ換えます。そうすれば自ずと手を伸ばせば届くぐらいの距離感となるのです。招き入れるのも、そのままドアを開けきればスムーズな内開きな対して、外開きでは自分が外まで出てドアを開いてから、一旦下がって通路を開けなくてはなりません。そして訪問者が入った後、再度ドアを閉めに出ていくことになります。日本家屋にみられる引き戸(横引き)の場合は、いうまでもなく内開きのドアと近いアクションとなります。この距離感や所作が人の関係を滑らかにしていくのかもしれません。

 

古来、日本でも門などに使われた扉は、基本的に内開きでした。住居などの建物の入口には引き戸が使われるのが普通で、外開きの扉は蔵など中に人がいないところが主な使い道でした。家が洋式化していくうちに、風土に合わせて内開きのドアとなっていったのでしょう。何の疑問も無く使ってきましたが、今、改めてその功罪を考えてみる時かもしれません。

 

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