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床の間と違い棚。西洋の家具の役割であるディスプレイ台と仮置き場に通じるものがある。
床の間と違い棚。西洋の家具の役割である
ディスプレイ台と仮置き場に通じるものがある。

前回、西洋での家具の使われ方、位置づけ等をお話ししましたが、日本ではどうだったのでしょうか? 現代では、数々の家具に囲まれて暮らすのが、当たり前になっている我々ですが、居室に家具を配置するようになったのは比較的最近のことのようです。

 

人類が最初に使った家具はチェスト(木製の箱)と言われますが、これは日本でも同様で行李(こうり)、葛篭(つづら)、櫃(ひつ)といった箱状の物から始まりました。衣類等を整理、収納、保管、もしくは移動するために使われたものですから、納戸や物置に置かれてきました。だんだんと暮らしに余裕が出てきてさまざまな道具や用品を使うようになってくると頻繁に出し入れするものが増え、それに呼応してただの箱だった家具に扉や引き出しがつき始めます。

 

畳の部屋の一辺に設けられた家具置き場。
畳の部屋の一辺に設けられた家具置き場。

この時点で前回お話ししたように西洋では収納はクローゼット、ストックルーム、家具は居室に置かれディスプレイ台、兼仮置き場となっていくのですが、日本では西洋の家具にあたるものが床の間、違い棚として発達し、家具は専ら収納の道具として考えられてきたのです。

 

こうなったのには、住居の形態が大きく違っていることが関わっているのではないかと思います。壁が主体の西洋の建築に対して、日本の建物は屋根が主体。壁を石や丸太等で積み上げ、その上に屋根を載せることからスタートした西洋建築に対して、日本では屋根を柱で持ち上げその間の仕切ってきました。その仕切りも障子、襖、板戸等が多く、必要に合わせて部屋を連結させることができるフレキシブルな仕組みとなっています。外壁すら持たず、雨戸を閉めることで外界と遮断する家屋が当たり前でした。こうした家屋では、自ずと固定壁は少なく、あっても床の間や押し入れ等に使われて家具を置くスペースがありません。家具は押し入れや納戸の中、もしくは家具部屋と呼ばれるところに集めて置かれます。そのため家具は壁に寄せたり並べたりするのに都合が良いように出っ張り引っ込みのない、直線的なデザインとなっています。

 

大正〜昭和初期に日本で作られた洋家具。並べたり壁に寄せたりしやすいように 直線的なデザインになっている。
大正〜昭和初期に日本で作られた洋家具。
並べたり壁に寄せたりしやすいように
直線的なデザインになっている。
 

そして、日本の暮らしが西洋化していき、個室で区切られた和洋折衷の住宅が建てられるようなってくると、家具の行き場がなくなり、部屋の壁を埋めるようになっていくのです。

 

各部屋に溢れてきた家具を納めるため、当時一般的だった畳床の部屋では付け足すように板床を張った家具置き場が作られたりしました。それは元々床の間、違い棚、押し入れ等があったスペースです。結果、収納や部屋を飾る空間が消失し、各個室がふくれあがった所持品を納める倉庫のようになっていきます。

 

畳を剥がしてフローリングに張り替えられていくようになってくると、新たに寝台や椅子.机等が必要になり、ますます部屋の中に無節操に家具が溢れるようになっていったのです。

 

このように我々日本人は居心地の良い空間を作るということは忘れ、物を納めることに終始してきたようにも思えます。西洋文化の表面だけを捉えて物まねしてきたツケが回ってきているのかもしれません。そろそろ、今の暮らし方を見つめ直してみる時期かもしれません。

 

 

 

 

 

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