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17世紀のインテリア様式。未だ電気がない時代なので電燈がなくスッキリ見える。
17世紀のインテリア様式。
未だ電気がない時代なので電燈がなくスッキリ見える。

日本では、箱もの家具は収納する道具と考えられる方がほとんどではないでしょうか? ですから、これらの家具を探す際、置く場所に隙間なくピッタリとあったサイズと、どれぐらいの物が納められるかが重要なポイントとなってきます。こういった観点で西洋アンティーク家具を探すと、なかなか目的に適ったものが見つかりません。あたりまえです。西洋の箱家具は多くの物を収納することを主目的とはしていないのです。

 

“Furniture”を日本語に訳すと「家具」となります。家に具わったものという意味、まさしく適訳です。本来、西洋では家具とは建物に付帯するものと考えられてきたのです。ですから賃貸住宅では家具付きがあたりまえ。自分の家を売却するときには、家具も一緒に売却します。日本のように、引っ越しの際に家具を梱包して運ぶということは滅多にありません。我々日本人からすると不思議に思えるこの習慣は、家具を家に具わったものと認識している彼らには当然のことなのです。

 

ミッドセンチュリーのインテリア。いかにも収納力の無さそうな家具が壁面を飾る。
ミッドセンチュリーのインテリア。
いかにも収納力の無さそうな家具が壁面を飾る。

“Furniture”に近い単語で“Furnishings”というものがあります。これはカーテンや壁付けのコート掛けなどの備品や家の内側で構造とは関係ない造作部分を示します。つまり内装部分で移動できるものが“Furniture”、簡単には動かせないものが“Furnishings”、この二つが相まってインテリア・デザインが完成するというわけです。建物とそれに付属する“Furnishings”が変われば、自ずと“Furniture”もそれに合ったものが必要になりますので、今あるものを持っていっても仕方がないのです。

 

このように、家具はインテリアの一部として選ばれますので、置く場所の様式に合わせたデザインとバランス良いサイズが大切で、その収納量の大小というのはさほど重要視されません。ですから、壁面の空間一杯を家具が埋めるということはなく、スッキリと配置されます。そもそも収納はクローゼットやストックルームが担うもので、家具は頻繁に出し入れするもののための「仮置き場」という役割なのです。

 

現代でも良く見掛けるイギリスの部屋。箱もの家具は一つだけ
現代でも良く見掛けるイギリスの部屋。
箱もの家具は一つだけ。
 
 

西洋文化が入ってきて、洋風の暮らし方になり始めた日本では、壁面を箱もの家具が埋め尽くすという状景が頻繁に見られました。とくに、今ではあまり見掛けなくなりましたが、嫁入り道具として婚礼何点セットと呼ばれる家具を用意するのがあたりまえだったころの新婚家庭にお邪魔すると、箪笥に囲まれているような気分になったものです。

 

なんでこんなことになっていたのでしょう? よく、日本の家は狭いから仕方がないと言われてきましたが、本当にそうなのでしょうか? 確かに西洋のものに比べるとウサギ小屋と揶揄されるような小さな家が多いのは事実です。しかし、原因はそれだけではないと思うのです。我々のDNAに刻まれた昔ながらの風習に西洋家具を当てはめようとしていたのではないでしょうか? その辺りの考察は、また次回に...

 

 

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