店の名前Le Midiは、南フランス、という意味なんです。考えていたとき、コレダ、と思いました。お店は、なんかあの、自分でやってみたかったというんでしょうか。雇われていると、安心は安心ですけど、でも、自分だったらこうするのに、とか、思うじゃないですか。－ちょうど、35歳のときに、お店を始めたのですけれど、だんだん、遅くなればなるほど、新しいことをする勇気が、にぶっちゃう気がして、いまの機会にやろう、と思い切ったカンジですね。

やっていける、というメドは、なかったです。まずは、やってみて、と。とにかく、始めてみないことには、わかりませんし－自分の好きなものを、こういうの売れるかな、と思って仕入れ、それが売れたときに、お客さんと共感できる－そうすると、お客さんも、あの店へ行けば、という気持ちになるでしょう。ココは、都心からも、西荻窪駅からも少し離れているので、ココにこないとない、みたいな、ココにくれば、きっと、あれがある、みたいな、私じゃないと探してこれない、みたいな－そういうものを、探してきたいなと思っています。－西荻窪の、北の果てのあの店へ行くと、かわったものがある、ちょっと行ってみない、ということになって、また、きて、見てもらえるといいな、と思いますね。

あれは、一昨年でしたか、それまでは、あまり、宗教的なものは買ったこと、なかったんですけど、木のマリアさまがありまして、それ見て、うわあーっと思った－でもね、高かったんですよ、私が買っていたものの何個分にもあたるような－どうしようか、考えましたけど、これはやっぱりイイ、と、買いました。すごく、気に入りましてね、売らないぞと思って、値段もつけずに、店にちょっと置きましたら、お客さんに「アレは」といわれましてね。売らないと決めていたんですけど、そこは、ね、ショーバイ・ショーバイみたいなことで－そんな夢みたいなこといっていると、いつ、沈没してしまうかわからないという気持ちになりまして、ね。

気に入った品を探せる喜びを与えてもらっている反面、旅立つ（売れていく）瞬間の寂しさがちょっとあったり、でも自分がイイと思うものをお客さまも好むものだし…。これは、売れそうとかっていう考えが先に走ると、結局、わけがわからなくなってしまうこと、ありますからね。