いずれは独立を、と「慈光」の社長に、いわれていまして、そして“その時”がきたわけです。社長から、手助けできるところは手助けしてあげるから、話があれば、いってくれ、と。ぼくは、お店をやるなら、望月拓男さんと2人で、と。1人だったらできない。2人だったらできるかもしれない、と。ぼくは、販売の人間、望月さんは、修理の人間。おたがいにできることをやって、要所要所、クロスオーバーしていこう、と。そうして始めたのが、昨年5月。いままでずーっとやってきたスタイルと、とくに変えるつもりはなかったですね。ただただ、家具が主ですよ、というだけで、イギリスものにこだわる、というわけでもない。これだったらいいな、とぼくらが思ったものを集めた場所なんですよ、ここは。

ぼくの自宅の家具もバラバラですよ。なにか古いもので統一するとか、ジャンルを絞るのもいいことだと思いますけど…… 以前は、全部、“あるもの” で揃えるというのが、スタンダードだったじゃないですか。全部、イギリスのある時代のもので揃えて、それ以外のものをいれるのは、美徳に反するとか…… でもいまって、そういうルールがなくなって…… うまくミックスされている…… そういうほうが “ いまだ ” と思うので、そんな方針でやっています。

この「ノースウェスト・アンティークス」というお店の名前、ここの住所が西荻北なので、そうつけた…… というよりも、実はもう少しイミがある。ぼくは、アメリカの「ノースウェスト」というブーツが好きなんですよ。ブーツメーカー、ホワイツ社の…… そのメーカー、100年 からの歴史があって、本来は、労働者用のワークブーツ、たとえば、木こり用の靴などをつくっている…… こういう仕事用には、こういう靴を、というふうにね。そこに、ノースウェストというタウンユースのブーツがさりげなく、ある。この店も、そんなふうに、本物を置く、敷居の高い店でなく、さりげないものを提供しますよ、というニュアンスを、お店の名前に忍ばせたかったんですね。