ぼくはね、別に、ものすごく家具が好き、古いものが好きというわけでなく …… そりゃ、もちろんキライではないですよ。…… で、この仕事の前は、洋服屋さんだったんですよ。アパレルにいて、この先どうしようかなと思っているときに、いまこの店のナナメ前の「慈光」に知り合いがいて、やってみないか、一人募集しているから、と。それが、何年前だろう、4年、5年前だったかな。全然それまでの仕事と違う、ホント、一からのスタート。

入ってまず、買い取りの現場でしたね。お宅へおうかがいして、譲っていただくことの補佐。車で、社長の横に座って、道案内からはじまって、向こうへ行って、積み込んで…… 単純な肉体労働ですよ。ウーン、新鮮は新鮮ですけど、やっていることのイミが、わからなかった。引越し屋さんみたいなものでしたね。コレはコッチ、アレはアッチ。仕入れと販売は、一連の流れですけど、そのときは、仕入れのことしかわからない。ああ、こういうものをこういう金額で仕入れるのかって。でもそれが、いったいいくらになるのかは、わからない。それは、その後、お店のことをやらせてもらうことになって、やっと、つながるんですよ。“ 引越し屋さん ” 専門だったのは、1年くらいでしたかね。

ええもう、そのときは、なにかアタマを使うわけじゃなくて、社長が話をつけたのを動かすだけ。ただ、肉体的にシンドかった。でも、それ以前のアパレルにしても、見せている部分は、カルイ、キレイなところですけど、裏は段ボールの山ですから。裏では、汗かいてやってますからね。そういやあ、ココに入るとき、社長に聞かれたのは「重いものは持てるか」だけでしたね。買い取りの手伝いをしながら、その合間に、品物をキレイにすることを教わるわけですよ。こういう木、こういう塗装には、こういう洗剤や薬品はダメだとか、ね。あとはただ、タワシでゴシゴシ水洗い。まあ、シンドかった、ですね。