忘れ得ぬ客と器と時代

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伊勢屋美術
われわれの商売は、相場がつきものなんですが、実は、これが変動する。いい例が、中国です。

中国が国力をつけてきましたよね。経済成長率も高い、という状況になった。日本には、江戸時代から、たくさん中国のものが入ってきていました。それがいま、猛烈な勢いでお郷帰りしているんですね。焼きものでいえば、宮廷などで使われていたような器が、一般の人たちにあこがれがあって、とんでもない金額で、日本から出て行ったりしている。その分、日本は、まずい状態。

将来の話をすると暗くなるんですが、・・・ある美術大学で、こういうことがあった。先生が、君たち、つぎの時間までに、アートだと思う、誰かがつくった作品をもってきてくれ、といったわけです。で、つぎの時間。先生が楽しみに待っていた。家具を持ってきた人が一人。器を持ってきた人が何人かいた。あと、たいていの人がフィギュアだった、というんですね。アートだと思うものが、なぜ、フィギュアなんだ。先行き、暗いんです。

伊勢屋美術それから・・・お茶を愉しむために、茶の世界が展開されてきたわけですが、いま、そのための道具を買う人は、60代か70代の人がほとんどなんです。昔は、もっと若い方がそれに参画して手に入れようとしていたのに、いまの若い方、お稽古道具でさえも、あまりお求めにならない。高価で、手が出せないのはわかるのですが。若い方は、これからの生活が心配で倹約をする。情報に関しては、ケイタイだ、スマートフォンだと、使わざるを得ない。お金が、そちらへ向かっている。そう考えたとき、われわれの仕事はいつまでもつのだろうかと、思うんですね。買う人が少なくなれば、業者の間だけで、品物があっちこっちへ行ってるだけ、そこに、なんにも生産性がない。エンドユーザーにつながることで、利益につながるわけですから。業者同士でまわしていても、同じ値段だったり、一割損したり、得したり・・・淋しくなっちゃうんですね。

 

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伊勢屋美術・ギャラリー壽庵

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