古いものと新しいもの no.8

愛知県常滑市/龍田家

愛知県常滑市/龍田家

江戸時代、回船問屋として隆盛を極めた屋敷です。すでに廃屋の状態から2000 年に市指定有形文化財として改修され、今では常滑観光ルートの大切なスポットになっています。回船問屋としての機能性、色濃い文化的な側面、時代の趨勢とを重ね合わせると、見どころ満載の建築です。古い時代の建物ですが、新しい時代にも応用できそうなことがらを何回かに分けてご紹介したいと思います。

この階段は2 階部屋に上がる唯一のもの

この階段は2 階部屋に上がる唯一のもの。平面広さは0.75 畳ほど。縁側部分につく箱階段ですが、2 階の床板のすぐ下に板が引き込まれています。その板を引き出すと2 階縁側の床になり、また1 階からはもう上がってくることは出来なくなるようになっています。すなわち、床と防犯を兼ね備えた機構です。名建築と言われる吉村順三の軽井沢の山荘でもこのような仕掛けがありますが、古くから民家にはこのようなアイディアがあったのかもしれません。