古いものと新しいもの no6

愛媛県内子町。八日市の街道に面する町屋。

愛媛県内子町。八日市の街道に面する町屋。地元建築家の永見進夫さんの設計で改修され、居心地の良い宿として蘇っています。通りに面する1階の現座敷(かつての「店」)の開口部は障子と一体になったガラス戸。その外側は、軒裏に跳ね上げられた蔀戸(しとみど)と回転式の床几(しょうぎ)の組合せです。

八日市の街道に面する町屋

注目したいのはガラス戸です。縦格子に貼られた障子は薄く、ガラス戸上部の室内側にはめ込まれています。その下は型ガラスで、室内側から見ると水平スリット状の明りが室の重心を下げ、かつ障子の縦格子と合わせてとてもうまくデザインされています。かつての時代にはなかったガラスと紙障子を、ひと筋の建具に無理なくすっきりとまとめられているのに驚きます。室内はほの暗く、日本建築の持ち味が生かされた魅力の空間となっています。