瓦のさざ波

瓦のさざ波

竣工間近の玄関先に立ち、整然と波打つ瓦屋根を眺めていたら、まだ若い棟梁が寄ってきて「瓦屋根は斜めのラインをみると良さが解りますね」と。

瓦のさざ波

瓦は一枚一枚職人さんが手作業で葺いていきます。
それほど大きな屋根でなくとも、葺かれる前のまとまった量をみると、それだけで大変な作業だという事に気がつきます。
瓦葺きの大変なところは、一枚がとても重いという事だけではなく、軒先はじめケラバ(妻側)も専用の形状をした瓦で葺くため、逃げが少なく僅かなズレでもそのままにしてしまうと取り返しがつかなくなることにあります。
そのためヨコ方向だけに限らず、同時にタテ方向にも最大限の注意をはらい、作業を進めなければなりません。

確かに棟梁が言う通り、斜めのラインがきれいにみてとれます。
タテもヨコもきちんと通っているというなによりの証です。
大きく張り出した軒先には軒樋がないため、軒瓦も心なしか喜んでいるように感じました。