造りつけ家具

以前は造りつけ収納の要望が多かった。
部屋のゴチャゴチャを片づけたい、視界から消えてなくなれ!。そんなことが目的だ。
収納家具を買ってきて並べても、こんどは家具の並びがスッキリしないし並ぶほど買い求めたら金額もベラボーになる。

造りつけ収納は普通につくれば工事費は高い。欲をだせば際限なく金がかかる。
今どきのシステムキッチンの食器棚をみればよくわかる。収納量はたいしたことないのにとんでもない金額だ。中の食器とくらべれば、外身と中身のアンバランスこの上ない。
システムキッチンの食器棚への金のかけ具合は、たいがいの家の家全体とくらべた金の配分はバランスが悪い。システムキッチンの一部でいいから庭木に回してほしいと思うくらいだ。

造りつけ収納のコストダウンを長年のテーマとして設計してきた。
具体的には棚の外周りと棚板を大工さんにつくってもらい、外側を建具屋さんにふさいでもらう。家具屋さんを呼ばないで現場の職人さんだけで造る。このやり方でコストダウンを図ってきた。結果的に家全体のつくりによくなじみ、インテリアとして空間によく溶け込んでくれた。

建具は当初、開き戸にしていた。そのほうが面がそろってきれいに見える。それが目的だった。
ところが、開き戸は大きいと使いづらい。小さくつくると枚数が増えて金が掛かるし、丁番は建具が大きくても小さくても傷みやすく、メンテナンスの必要性もふえる。
コストを下げようと、大きめの引戸にして扉の枚数を半分に減らした。面がそろわない不安はあったが、引き手に工夫をこらしたデザインに仕立てて何とかまとめ上げた。
引戸だと地震のときに中のものが飛び出さないという、ありがたいおまけも付いてきた。

造りつけでせっかくスッキリしたのに、さして広くない部屋にソファーなど置けばますます狭くなる。ソファー自体は安いものではない。これも造りつけにしてしまえば部屋は広く使えるし、大工さんに造ってもらえば安く済む。
収納にもなるボックスを壁際につくる(置く)。その上に専門店に造ってもらったクッションを並べれば、即ソファー。
クッションのつくりにはそれなりの工夫が必要だが、やってしまえばたいしたことではない。

造りつけ家具