「何もない」オーベルジュ土佐山を訪ねて

高知県高知市土佐山

オーベルジュ土佐山

オーベルジュ内子でオープン当初から支配人をされてた角田憲彦さんが、数年前に本拠地故郷の高知に帰られ、オーベルジュ土佐山の支配人として現在も活躍されている。
忘れかけていた頃に連絡して即ドライブがてら訪ねてみた。

高知市内から車で約30分。ひと山越え、谷あいの集落が続く土佐山中川地区に建つ。県内外から食通が目指してくる美食の宿である。ここの誕生秘話がユニークなのだ。

「コンセプトを決める際に地域を歩いてみたら、『何もない』という話になり、ならば『何もない』をテーマにしたらいいのではないかと今のスタイルに落ち着きました」と支配人。その言葉通り、一切の客室にはテレビや時計を置かず、里山にある自然の四季を五感で感じられるように設えを工夫している。忙しない日常で忘れかけていた風物詩を、この宿は蘇らせてくれるのである。

設計:細木建築研究所・細木茂、構造:HF設計・樋口靖彦
木造・一部RC造で、エントランス棟、宿泊棟、温泉棟などから構成されている。土佐杉・桧・土佐漆喰・土佐和紙とこの地で生まれた自然素材を生かしている。またヴィラのレンガが何とも言えない風情を醸し出している。

オーベルジュ土佐山