まちかど建築でタイムスリップ no.6

国立文楽劇場/大阪市中央区日本橋
設計:黒川紀章都市建築設計事務所(黒川紀章) 建築年:1984年(昭和59年)

国立文楽劇場

目の前を阪神高速道路の高架が横切り、高架下もすごい車騒音。文化施設としてはかなりつらい環境。雑踏の中、ゆったりとした曲面の黒い外壁が大阪の狭い空をくぎっているのが印象的です。

国立文楽劇場

大きなボリュームな建物ですが、近づくと2層分の高さで下屋がヒューマンなスケールをつくっています。荒い縦の格子が回廊と雑踏をうまく取り持っている。そして、外壁タイルの黒いタイルと白い目地がとても魅力的です。前身は大阪文楽座(朝日座)/設計:吉田五十八。黒字に白い斜め格子のラインが入ったなまこ壁風の外壁だったようですが、その朝日座のイメージを踏襲しているそうです。

イメージ(記憶)がバトンタッチされて、次の時代に相応しい形で受け継がれていく。日頃の仕事にも共通して考えたいことです。