風景のなかの建築 no.4

山口市一ノ坂川

風景のなかの建築 no.4

地方で仕事をさせていただくとき、できるだけ地元の雰囲気を肌で感じようと、許される限りウロウロします。目に飛び込んでくるものから、建築の材料や色、形、引いては風土を感じ取ろうとします。ここは県庁に近いところで、城下町を形作っていた地域。一ノ坂川という穏やかな川に面して町屋が並んでいたところ。ところどころに以前の面影を残している町屋があります。
瓦は石州瓦。山口市内の住宅は、この艶のある瓦とうまく調和した色使いが多く、上品で落ち着いた雰囲気をつくっています。この町屋では、道路に平行に軒を出す平入屋根の店の部分、その横には切妻屋根を見せた玄関部分が合わさっています。増築や改築を繰り返したようにも見受けられ、周辺のかつての姿や、その変遷を想像するのも街歩きの楽しみです。