ミロンガからラドリオへ

ミロンガからラドリオへ

 

ミロンガからラドリオへ

〈 なぜ今まで 片岡義男の 珈琲エッセイ本が なかったのか? 〉
とオビに書かれた『珈琲が呼ぶ』(片岡義男著・光文社)を読んだ。その76ページに「ミロンガとラドリオを、ほんの数歩ではしごする」というタイトルの章がある。

〈 ラドリオからミロンガへのはしごではなく、ミロンガからラドリオへのはしごを僕は好いていた。あまりにも好きだったので、二〇一六年、このことを短編小説のなかに書いた。『この珈琲は小説になるか』という題名の、作家を主人公にした短編だ。〉

この文章の3行前にも、〈ミロンガからラドリオへのはしごを僕は好いていた。〉とあるから、よほどお好きなのだろう。でも、おや、僕は違う、と思う方がいるだろう。私は、そうだ。ラドリオは、ランチどきは満員のことが多く、ミロンガは、比較的、余裕がある。だから、まず、少し雑然としたラドリオに行き、カレーなんかを食べて、ミロンガの入って右手の喫煙可の部屋で、タバコは喫わないが、ちょっと落ちつく、ということになる。

今日の昼、ラドリオに空席なく、ミロンガへ行き、ジャンバラヤライスを食べた。「逆コース」という言葉は以前流行し、今や誰も使わないが、これは、片岡さんの逆コースだなと思った。

 

ジャンバラヤライス