山形に行ってきました

 

週末、昨年から気になっていた最上伝承野菜農家 森の家さん主宰のイベント「芋祭」の芋煮会に参加しました。開催地は、山形県の中でも秋田寄り、新庄市から送迎バスが迎えに来てくれて真室川というところ。きっと涼しいだろうな~という期待は見事に破れ、まだまだ猛暑真っ最中。汗だくになること間違いナシ!と覚悟していただいてみた。しかし真っ白で柔らかくほっこりとした上品な里芋とネギと大きくて風味豊かなタケを醤油ベースの芋煮は、なんともあっさり、思わずおかわりをしたくなるほど美味しかった。イベント会場は畑の中。芋煮や農家のお母さんたちの野菜たっぷりの美味しい料理や、芋掘りワークショップをしている人たち、地元の農家さんやお店によるマルシェへの人だかりで想像以上に賑わっていた。主催者として忙しそうに飛び回られている森の家20代目の佐藤春樹さんをつかまえてお話をうかがったところ、ご自分の畑でつくられている甚五右エ門芋さわのはな以外にも、周囲の伝承野菜農家さんのことも知ってほしくて、パンフレットを作ったり、今年3回目となるこのようなイベントを開催しているとのこと。先祖代々伝わる野菜を一人でも多くの人に食べてほしい、という熱い想いから生まれていたのですね。今度は車で来て、ぜひ芋掘りをしてみたい。

 

ちなみに、山形に着いてから、出会う人出会う人「芋煮会ね!先週いってきましたよー」「芋煮会!楽しそうですね、うちも明日家族でやりますよ」「この時期になるとスーパーで芋煮のために鍋を貸してくれるんですよ」と口を揃えるほど、この季節山形では芋煮会はポピュラーなお祭り。毎年9月の頭に行われる有名な馬見ケ崎川の芋煮会では、直径6メートルの大鍋で3万食分の芋煮が振る舞われ、使われるサトイモはなんと3トンだそう。今年はさぞかし暑かったでしょうね・・・。

 

山形といえば、鋳物でも有名。前泊した山形市内の長文堂さんで見せていただいた鋳物の姿は、鉄瓶といえば南部鉄器と思い込んでいた私にはとても新鮮だった。山形鋳物の特徴は「薄肉美麗」だそうだが、その言葉通りの繊細な美しさ。蓋のつまみのデザインがひとつひとつ違っていたり、注ぎ口の滑らかさ、色にしてもアンティークのような風合いに柔らかさ、優しさと上品さがある。数えきれないほどの作業工程と長い日数をかけて行う伝統工芸士の技を求めて、海外から直接こちらに買いにくることもあるそうだ。

 

また、市内を歩き回っていると、古い洋館を使用した病院や、蔵をリノベーションしたカフェ、ギャラリーや美容室など、古い建物を活用している様子も多く見られた。その一つ、蔵オビハチさんで出会ったスタッフの方が「芋煮会」のルーツを教えてくれたり店名の由来を説明してくれたり、やけに土地のことに詳しい。この人は一体何者なのか?と思っているとお店に来ていた男性を紹介してくださった。この方は東北芸術工科大学教員の廣瀬氏、風土研究と生態学、近自然工法の応用(土地の植物を計画対象地に移したり、土地の石を積んだり敷いたりすることを基本に、人間の居場所をつくる)というご自分の専門分野を生かし、震災前から早戸温泉遊歩道を手がけられたり、浪江の風景を絵葉書に残されたり、震災後も石巻市雄勝町支援活動や、 エネルギーシフトと三陸の生業復興試案など、さまざまな復旧復興支援活動を行っている方だった。ちょうど本日から今年の早戸温泉遊歩道施工実習を開始されたそうだ。 前出のお店のスタッフさんは廣瀬氏のゼミの1期生、三浦さん。どうりで地域の歴史に詳しいわけだった。

その他にも鹿児島で訪ねたしょうぶ学園さんなどをモデルに活動されている桜舎さんなど、自分たちの足だけではとても見つけられない情報を教えてくださった山形まなび館・穀雨カフェの飯塚さん、その飯塚さんをご紹介くださった東北芸術工科大学研究支援室 山形エコハウスの亀岡さん、森の家さんのHPも手がけられ、地元に関わるさまざまなデザインを手がけられているアカオニデザインさん・・・地域を愛する方々のつながりに支えられて、今回もいい出会いに恵まれました。どうもありがとうございました!