続・『チルチンびと』夏号の特集は、「草編みびと」です!

続・『チルチンびと』夏号の特集は、「草編みびと」です
 
『チルチンびと』夏号の特集「草編みびと」にちなんで、「草の本」のビブリオバトル、または、読書会、つづき。
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M君。これも、変化球といわれますかね。『冬虫夏草』(梨木香歩・新潮文庫)。鈴鹿の山中を “ 物書き”の男が、歩き、出会い、語る、人と自然の物語。不思議な味で、好きなんです。目次をひらくと、並んでいるのは植物の名前。クスノキ。オオアマナ。露草。彼岸花。紫草。アケボノソウ。タブノキ。マツムシソウ。ムラサキシキブ。…… ね、ここから、短編が展開する。
〈 ー 冬虫夏草とは、あれかい、冬場は虫として活動していたものが、夏になったら植物に変化するという。本当のことかい、あれは。〉
〈 ー あれはマツムシソウです。私の一番好きな花。西洋の天国の夢のようでしょう。それからあの雲。あの雲は、まるで大礼の烏帽子を被った神官のよう。〉とかね。一緒に、彷徨いましょうよ、山の中を。

Sさん。私は、ふんわりと、直球を。『雑草のくらし ー あき地の五年間 ー』(甲斐信枝・福音館)。このかたの日々。NHKスペシャルでごらんになりました? とても、よかった。さて、こう始まります。
〈春もなかばをすぎるころ、土手のほとりの畑あとに、うっすらと緑がひろがりはじめた。〉絵本に描かれるのは、広々とした畑。そこで働く人。ページをめくると、こうです。
〈土の中からわき出すように、緑はどんどんひろがっていく。季節がきたら芽を出そうと、待ちかまえていた草の種子たちが、ぞくぞくと芽を出しはじめたのだ。〉真夏のオオアレチノギク、秋のセイタカアワダチソウ…… 京都比叡山のふもとの畑あとに五年間通って観察したドラマです。
雑草の本ではじまって、雑草の本で終わるのも、この会らしいかな。
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「チルチンびと』92号の特集は、2本立て。「草編みびと」と「つくる家と、買う家の違い」。6月9日(土)発売です。お楽しみに。