雑誌「チルチンびと」82号掲載 栃木県 ㈲響屋

薪ストーブのそばで 夫婦で奏でる上質な時間

 子育て世代の住まいづくりを得意としてきた栃木県の工務店・響屋。これまで培ったノウハウを生かしつつ、自邸の設計を機にチャレンジした新たなテーマが「上質な大人の時間」。できあがったのは、趣味や友人との時間を贅沢に楽しめる工夫が随所に詰まった家だった。 「ジャズのまち」として知られる栃木県宇都宮市。渡辺貞夫氏をはじめとする世界的に有名なジャズプレイヤーを輩出したまちだ。  渡辺響子さんと明弘さん夫妻が営む“響屋”は、この栃木の材料と職人で「地産地消の家づくり」を進める工務店。栃木県には日光山系の杉檜をはじめ、大谷石、石灰石、烏山和紙など豊富な素材が揃う。創業10周年を迎えた今年、満を持して自邸の竣工を迎えた。  漆喰の外壁が白く輝く渡辺邸が佇むのは、まちなかにありながらも川のせせらぎが聞こえる場所。玄関に入れば杉のさわやかな香りに包まれる。リビングは白く明るい空間というより、光が抑えられてほどよい落ち着き。そのまま薪ストーブのゆらめく炎に誘われて窓辺に進むと、2階の多目的ホールとつながる吹き抜けが。抑える部分と抜けを出す部分のメリハリある空間になっている。 友人が集う家づくり 「人が集いやすいことがコンセプトの一つ」と響子さんが話すように、渡辺さん夫妻はお客さんをもてなすことが好きな気さくな人柄だ。この家では気兼ねなく人を招くための工夫を大事にしている。寝室や家族用の水まわりなどプライベートな要素はすべて2階に配置し、1階であればお客さんがどこに入ってもいいプランにしている。そしてLDKをあえて別々にしたことも、長居しても窮屈な思いをしないための工夫だ。  「たとえば、まずはダイニングで食事を。その後はリビングでくつろぐ人もいれば、バーカウンターでお酒を飲む人がいたり、あるいはテラスで外の空気に触れる人がいたり。みんながずっと同じ場所にいるよりも、いろんな居場所をつくったほうがリラックスできますよね」(響子さん)。かといって完全に分断されるわけではなく、暖簾や段差で緩やかな区切りをつけている。  好きな音楽を 好きなだけ  二人の共通の趣味は音楽。中でも好きなのはやっぱりジャズ。家に居る時間はお気に入りのアーティストの演奏を聴いて酔いしれるという。明弘さんはサックス、響子さんはピアノを演奏し、この家には防音室も完備している。こうした自分たちの趣味を思い切り楽しみたいというのもコンセプトの一つ。薪ストーブもスピーカーのデザインと調和するように選んでいる。  ところで響屋では10軒中9軒の建主が薪ストーブの設置を希望するという。木の家を選ぶと、暮らし方もできるだけ自然に沿った形にしたいと考える方が多いそうだ。ボタン一つで動く暖房器具もあるけれど、薪ストーブには火を見ているだけで安らぎ、家族の絆を育む、ほかには替えがたい喜びがある。「暖房にしろ料理にしろ、人の生活の原点はやっぱり火のある暮らしですよね」(明弘さん)。  ゆったりと夫婦二人の時間を楽しみたい―。そして今後、自分たちと同じように暮らしに「+αの大人の楽しみ」を求める方に対して、この家が提案できればと渡辺さん夫妻は考えている。  そんな二人のもう一つの共通の趣味が毎日の晩酌。「今日はどこにする? なんて、映画を見ながらリビングで飲もうとか、ダイニングで音楽を聴きながら食べようよとか、そんなことを話しながらこの家を楽しんでいます」(響子さん)。

ページ数:6

このコンテンツを閲覧するには、FlashPlayer9.0.20以上がインストールされている必要があります。またJavascriptを有効にする必要があります。

目次

ページ 1 2 3 4 5 6