雑誌「チルチンびと」89号掲載 栃木県 ㈲響屋
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149えなくなります」とご主人。「早起きしてお散歩して、お風呂に入って。これが本物の贅沢ですね」と奥さん。夜、部屋の照明を落として式台に腰かけ、薪ストーブの炎を二人でぼーき出るこの土地を気に入ったご主人が「今しかない」と購入を決める。 数年かかるはずだった理想の家が、1年足らずで完成した。「縁があったとしか考えられない」と、夫婦は口を揃える。「全部任せると言われたら、こちらも張り切りますよ。Cさんは褒め上手なんです(笑)」と響子さん。軽口を言い合いながらも固い信頼関係で結ばれた、依頼主と設計者の絆があった。「ここに来ると、嫌なことは何も考左上/珍しい鳥獣戯画の帯は、ご主人のもの。 右上・右下/繊細な色合いの麻暖簾が、和の雰囲気を引き立てる。 左下/茶道仲間の片岡鶴太郎さん直筆の、味のある色紙が飾られた小上がりの飾り棚。来た人を驚かせたい、とつくった玄関ホールにつながる広間。コーナー窓にある涼み台から、遠く日光の鶏頂山(けいちょうざん)を望める。っと眺めていると、頭の中が「無」になるそう。夫婦の夢みた豊かな暮らしは、この家とともに、もう始まっている。

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