雑誌「チルチンびと」63号掲載 人を生かし、風土を生かす家づくり 山形編

杉と大工の町に継承金山町「100年の大計」

地元の「金山杉」を使い、伝統的な「金山型住宅」をつくる—。 林業の町で始まった景観づくりの取り組みは、四半世紀を経て 全国的に知られるようになった。取り組みを先導してきた 「金山人」を訪ね、その思いを受け継ぐ若い力に出会った。山形県最上郡金山町の山林。早朝、神室連峰を覆っていた深い霧は、山に分け入るうちに消えていた。周囲には形の整った山々が居並び、力強い緑に縁取られた稜線が、真夏の青い空を切り取る。 杉の木が立ち並ぶ森に、厚さ10センチほどに輪切りされた杉丸太の 祭壇と、小枝を鉈で削った燭台。そこには神酒と塩、梅干しが供えられている。「山に入る『杣入り』のときには、昔からこうして作業の無事を祈ります」と、M燭に火を灯しながら原田林業の原田昭作さんが説明してくれた。終戦直後から60年以上、この地で林業に携わってきた原田さん。神妙に手を合わせる様子に、脈々と受け継がれてきた山の歴史と、杣人たちが山の神に捧げる畏敬と感謝を垣間見る。

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