雑誌「チルチンびと」65号掲載 人を生かし、風土を生かす家づくり 福岡県

山とまちに心の交流を生む森林体験バスツアー

木の家を建てる人に、山のことも知ってもらいたい。地域産材で家づくりに努める工務店が始めた、森林体験バスツアー。山を元気にし、まちの人を魅了するツアーの内容とは——。
 春、夏、秋の年3回、下関市に本社を構える安成工務店が開催している「森林体験バスツアー」。住宅に使われる木材の産地を訪れ、山の恵みについて学ぶこの体験会だが、特に夏のツアーは、1泊2日の日程でキャンプ体験もできるため、夏休み中の親子連れで賑わう。バスは日田街道を山へ、山へ。いくつもの山がでこぼことつながる、 潰え崩えた山景は、この地域の名前の由来になったともいわれている。目的地は、上津江町。福岡県日田市の最南端、土地面積の97%を山林が占めるまちだ。  日田と言えば、九州有数の美林「日田杉」で有名だが、上津江地区には独自のブランド材「津江杉」がある。その津江杉を生産しているのが、1990年に設立された第三セクター「トライ・ウッド」。上津江最大の資源である森林の再生と、山仕事の後継者育成を目的につくられた、森林管理、素材生産、木材加工、販売という一貫した流通経路を持つ総合林業会社だ。安成工務店では、1996年から津江杉を使い、年間約120棟の住宅を建設。また、山とまち(エンドユーザー)がもっと近い関係になるよう、森林体験バスツアーを続けている。

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