其之十 お茶摘みがしたい!! 其之十
お茶摘みがしたい!!

なんだか、いつもの5月より涼しい福岡。寒い冬から一気に暑くなるのが福岡の気候と思っていたのですが、今年湿度が低めで過ごしやすい陽気。朝夕は肌寒いくらいです。


中国茶に続いて日本茶も新茶が出てくるこの時期。九州はお茶の産地でもありますから、あちらこちらで「茶摘み体験」なんて募集をよく見かけます。「行きたーい」と思いながら腰の重い私は、毎度その機会を逃しているのですが、台湾では「杉林茶(サンリンケイ)」という烏龍茶を作る体験をいたしました。今回はそのときのお話を少ししましょう。


マイクロバスに揺られて、車1台通れるか通れないかという山道をどんどん行きます。途中、木や岩に引っかかりながら山の中腹まであがっていきました。朝の10時頃ようやくついた先では既に籠や大きな袋に茶葉が積まれており、それをまず、大きな体育館とビニールハウスを合わせたような部屋に持っていき、床一面に敷かれたシートの上に広げます、茶葉が重なっている所のないように、茶葉を踏まないように中腰や立て膝で作業を行います。まずここで茶葉の水分を自然に飛ばして萎れさせていくのです。ビニールハウスのような場所ですから、結構暑くなり、その熱と風で水分を飛ばします。葉の様子をみて、次は茶葉を大きなザルの上に分け入れます。


さぁここからが大変です!! 直径1mくらいあるザルに盛られた茶葉を優しくかつしっかりと撹拌するのです!! 優しすぎてもだめ!! 強すぎてもだめ!! 指先をうまく使いすくってはぱらぱらと落とし、またすくってという作業を行います(私たちはこの作業をザルを床に置いて、立て膝で行なったので膝は痛いし腰や背中や腹筋に力が入ってエクササイズ状態!!)。撹拌しては休めて発酵させて、また撹拌して発酵を促して休めて〜を繰り返し、これだけでとっぷりと夜が更けて行きました。眠る間もなく作業を続け、指導をして下さった方に「はい!! 熱入れるよ、持っていってー!!」といわれ、ザルの上の茶葉をドラム缶を横にしたような釜に入れます。釜の中で茶葉はぐるぐるまわり200度くらいの熱で煎っていきます。熱を入れることにより発酵を止めます。烏龍茶は発酵をどの時点で止めるかが大切で、このタイミングを上手に操ることで香りが決まってきます。ここでは茶葉を乾燥させるのが目的ではなく、発酵を止めることなので、ある程度の熱をいれたら 大きな布の上ににとりだします。茶葉を大きな布でてるてる坊主を作る感じで包み(てるてる坊主の頭の部分に茶葉がつめられています)その状態のまま今度は揉むために機械へ。この作業で茶葉の形を整え、揉むことにより茶葉の中の組織が壊れて味を引き出します。布から茶葉を出し、乾燥して烏龍茶の出来上がりです。最初に床に広げた大量の茶葉からは信じられないほど少しの量に!! こんなに手間のかかる中国茶、美味しくないわけは・・ないですよね! 出来上がった頃にはすっかり朝に。出来上がりを試飲しましたが披露困憊で味の判定できず。でも、どんなお茶であれ自分の作った中国茶は美味しく、体に染み込みました。


ところで今回のコラムの題名は「お茶摘みがしたい!!」なのかって? それは・・ お茶を作ったことはあっても、茶摘みをしてませんから!! 茶葉を摘んでみたい私です・・。