其之九 中国茶で遊んでみる 其之九
中国茶で遊んでみる

日に日に暖かくなり、きれいに花々も咲きはじめ、私もますます行動的に! なーんて、実際は三寒四温に振り回され、花粉にやられ、福岡では名物の黄砂で車は真っ白になり、さらに今年からはPM2.5に頭を悩ます日々・・・。


なにはともあれ春! 心がうきうきそわそわするシーズンです。中国茶ファンにとっても楽しみな季節です。じきに清明節を迎え季節を追うごとに新茶が続々と登場します。そんな春のお茶を10倍楽しんでいただくために、今日は中国茶での遊びを楽しんでみましょう。


中国茶を飲むときに使う器、「飲杯(いんはい)」と呼ばれる小さなおちょこのようなものとその横にのっぽな形をした器が一緒に置かれることがあります。「なぜ2つもあるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、「のっぽの杯」これは「聞香杯(もんこうはい)」と呼ばれるもので、これは飲むために使うものではなく、文字の通り「香りを聞く」杯になります。香りを聞くといわれても? と思われるでしょうが、中国茶は香りのバリエーションが豊富ですから、その違いをこの聞香杯で楽しむことができるのです。飲むのと同時に香りを楽しめる・・・なんて気が利いてるんだ! と初めてこれを知った時に私はとても感心しました。「聞香杯」は青茶(烏龍茶)の香りを楽しむために生まれた杯です。いろんな種類の青茶を用意して香りの違いを楽しむ。そんな時間も贅沢ですよね。


もう一つの楽しみ方は聞き茶ゲームです。何種類かのお茶を用意して、湯呑み程の大きさの茶碗に2杯ずつ入れていきます。それらをランダムにおいて水色、香り、味でどの茶碗同士が同じお茶なのかを当てていきます。さらに、なんのお茶かまで当てることができたなら、あなたはもう中国茶のプロ。「お茶のソムリエ」になれるかもしれません! このお茶当てゲームは古くから楽しまれてきた方法で「闘茶(とうちゃ)」と呼ばれるものです。お茶好きの方では盛り上がること請け合いです。


もう一つ上級の遊び方をご紹介するとすれば、部屋の外へ出て野外で中国茶を楽しむ「野点(のだて)」はいかがでしょうか。季節の花々を楽しめる場所を選んで、その場で中国茶を淹れて楽しむのです。お湯や道具を工夫すれば最高の場所でお茶を楽しむことができます。昔文人たちが野外で茶を淹れて楽しんだ雰囲気を、そのまま味わうことができるでしょう。もう少し気軽に楽しみたいなら、お気に入りのタンブラーに茶葉を入れ、お湯は小さな水筒に入れていきます。近所でお気に入りのお菓子やお弁当を買って、近所の公園のベンチに座ったらタンブラーにお湯を注いでお茶をいただきます。桜や躑躅(つつじ)を愛でながら風に漂う春の薫りとともに春を満喫できるでしょう。家の中や会社のデスクでは味わえない「特別な時間」。中国茶とともに楽しんでください。