其之弐 お茶は薬? 〜「岩茶」の魅力〜 其之弐
お茶は薬?〜「岩茶」の魅力〜

今年の冬は格別に寒い、という気がします。少し暖かな日が続いたり、そうかと思うと一気に気温が下がる。福岡はそんな日が続いています。


寒くなると、風邪やインフルエンザが流行します。予防策として、お茶でうがいすると良いとか、◯◯茶を飲むとインフルエンザに効力があるとか・・・中国茶はもともと「薬」として飲まれていたと言われています。これを飲めば必ず治るわけではなく、日常生活の中で飲んで体を整えておきましょう、という考え方ではないかと私はとらえています。


中国茶の中で「岩茶(がんちゃ)」と呼ばれるものがあり、病気に効くと言われることの多いお茶です。本当に効能があるかは私には証明できないのですが「このお茶は本当に効果があるのではないか」と思わせる個性的な味や香りの物が多く、名前にいたっては哲学的なものがついていたりします。


白鶏冠(はっけいかん)」「鉄羅漢(てつらかん)」「水金亀(すいきんき)」「大紅袍(だいこうほう)」・・・名前からはどんなお茶か想像もつきません。これらの名前にはさまざまなエピソードがついていて、例えば「大紅袍」などは諸説ありますが、ある頭のいい人が科挙を受けにいく途中で体調を崩して倒れてしまいます。その近くの寺でこのお茶を飲んだら、たちまち回復して、頭も冴えて科挙で一位の成績を収めた。その人は一位の人に渡される紅い衣を感謝の意を込めてその茶樹にかけた。そこから「大紅袍」と言われるようになったとか。そんなエピソードからしても、薬のような不思議な力のあるお茶だということが伺えます。


「岩茶」の作られる茶樹が生えている場所は、中国福建省の武夷山周辺の崖や硬い岩肌など厳しい環境に生えていて、岩肌から豊富なミネラルを吸収して育ちます。味は大変印象深いものが多く、「岩韻」といわれます。その豊富なミネラルが「冷え」に効くなどもいわれていて、寒い冬にはうってつけのお茶です。


日本では、中国茶を多く取り扱っているお店でないと普段はお目にかからない「岩茶」ですが、今はネットでも購入できますので、ぜひ一度挑戦してみてください。「肉桂」「金鎖匙」「千里香」など「どうしてこんな名前がついたのだろう?」といろんな想像をしながら頂くのもいいかもしれません。