雑誌「チルチンびと」70号掲載 宮城県 ㈲佐七建設
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215新たに取り組み始めた暖房方式ヒートポンプを使って建物の基礎上に温水を循環させることで熱を玉砂利層に蓄熱し、床上に開放することで、暖房する。電力会社と深夜電力を多く使う契約を結び、一部エアコンで昼間の補助暖房を利用したと仮定すると、エアコンのみを使用した場合に対しては45%、蓄熱式電気暖房機を使用した場合に対しては33%の電気代節約になる。施工・メンテナンス性も、今までの埋め込みタイプではなく砂利層に配管するので、もしもの時にメンテナンスが可能。設備寿命よりもはるかに長い家の寿命から考えてもよい方式だ。蓄熱式暖房機のコントロールパネル(左)と暖房機からの輻射熱を取り込む床面の吹出口。ガルバリウム鋼板:厚0.35㎜上垂木横垂木断熱材:厚50㎜×2気密シート杉板:厚30㎜母屋垂木内側通気層の暖気は再び室内へ外側通気層の空気の流れ柱間柱胴縁プラスターボード内側通気層の空気の流れ外側通気層の冷気は棟から換気される母屋梁登り梁アスファルトルーフィング土台水切りケイカル板:厚9.5㎜気密シート土台断熱材:厚50㎜通気胴縁:厚18㎜透湿防水シート無塗装サイディング:厚14㎜ジョリパット左官仕上げ野地板:厚12㎜限られた電力を有効に使い東北の厳しい冬を快適に過ごす。佐七建設の設計手法東日本大震災以降、住宅の耐震性能はもとより、その省エネ性能についても高い関心が寄せられるようになった。東北の厳しい寒さと省エネ性能をバランスよく盛り込んだ佐七建設の設計手法を紹介する。合板ゼロでも地震に強い構造同社が加盟する『チルチンびと「地域主義工務店」の会』・東北建築塾で行った床の加力試験にて、床倍率0.96倍を計測した床の構造を屋根面に応用した。登り梁に母屋垂木を挿し、30㎜厚の杉板を打ち屋根面の剛性をとっている。外張り断熱工法家全体を断熱材ですっぽりと包み込む工法。隙間なく断熱材を施工することで外部から熱が入り込むのを防ぐ。柱の外側から断熱材を張るため、木の収縮でできる隙間からの熱損失を防ぎ、家全体の断熱性能を均一化できる。二重通気工法外壁と断熱材、断熱材と内装材の間に通気層を設け、壁体内結露を防ぐ効果がある。室内の暖気は床下から壁体内を通り、2階の内部通気口から再び室内に流れ込み、基礎を含めた家全体に暖かい空気を行きわたらせる。外気は外側通気層を上っていき棟から排気される。イラスト ● 鈴木 聡(TRON/OFFice) 写真 ● 畑 耕フローリング:厚15㎜立ち上がり基礎断熱材:厚100㎜床下地(杉板):厚15㎜根太大引き玉砂利(蓄熱層)金属束メッシュシート温水循環パイプ基礎川砂基礎断熱材:厚50㎜立ち上がり基礎断熱:厚100㎜基礎断熱:厚50㎜ヒートポンプ基礎蓄熱暖房システムと 他システムの年間電気料金比較 単位:万円※11月~4月までの6ヶ月間の稼働とする。※電気料金は概算。住宅性能・気象条件・使用状況 により変動。基本料金・燃料調整費は含まず。45% 削減 0 4 6 10 8 2 ヒートポンプ 基礎蓄熱システム 蓄熱式電気暖房機エアコンのみ

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