雑誌「チルチンびと」64号掲載 愛知県 ㈱エコ建築考房
8/9

8ページ だ。実は、社長「田中さんの家づくりに対する真摯な姿勢を学び、その設計を形にできたことで、社員や職人が自信を持つようになりました」(P間さん)  また、その知識と技術に惚れ込み、会の仲間である勇建工業に左官を依頼するという新たな試みも実践。 「この家をきっかけに、職人も住まい手も巻き込んで家づくりをしなきゃならんという思いが強くなりましたね」。住まいのあちこちを愛おしそうに眺めながら、P間さんは話す。  お昼過ぎ、賑やかな宴が始まった。できたてのストーブ料理を頬張るかたわらで、薪がはぜる音、ゆれる炎、香ばしい匂い—。料理だけでなく、それらも贅沢なごちそうだ。 秋晴れの週末。喜多邸には友人が集まり、昼食の準備中だ。てきぱきと動く夫妻とともに、友人たちも勝手知ったる様子でキッチンに立つ。  この日のメインは、家族室のクッキングストーブでつくる料理。天板のタジン鍋でパエリアがふつふつと音を立て、下部のオーブンでは、豚肉のブルーベリー焼きが甘い香りを漂わせている。 「どうすれば思いどおりの温度になるか考えたり、なかなかうまくいかないところもおもしろいんですよ」と、火の様子をのぞきながら話す奥さまの絢子さん。ご主人の茂樹さんも、「火を熾すところから始まるから、食べるまでの過程も楽しい」と続ける。今春に竣工し、火を入れるのは数回目だと聞いていたが、すっかりその魅力にはまっているようだ。

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る