雑誌「チルチンびと」神奈川掲載 神奈川県 ㈱加賀妻工務店
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102る家にしてほしいとリクエストした。夫婦は「気に入ったものを長く大事に使う」ことを心がけている。ダイニングテーブルとは30年近くの付き合いだ。同社の設計担当、高橋一総さんも、打ち合わせで以前のお宅にうかがうたびに夫婦の家具に注目していたそうで、「どれも使い込まれ深い味わいをもつので、それにふさわしい内装を心がけました」と話す。室内の色は白と無垢の木のツートンに抑え、壁は漆喰、天井は和紙と質感に深みのある素材で仕上げた。無垢の木の見える割合も徹底的に吟味した。ご主人がこんなエピソードを披露する。「現場で漆喰塗りが始まっていた頃かな、高橋さんが、梁の一部を見せるか漆喰で隠すかで、ずっと悩んでいたんです。わずか数十センチの部分で、私たちならどっちでもいいやと思うのに、高橋さんは真剣そのもの。今も印象に残っています」。 新居での過ごし方をうかがうと、ご主人は「休日は庭仕事。その後デッキでくつろぐのが至福の時」とのこと。山が近いからか、庭にさまざまな鳥や虫も来るという。手仕事の好きな奥さんは、2階のフリールームにミシンを出して縫い物をしたり、キッチンでジャムをつくったり。「庭で収穫したトマトで、トマトソースもつくりましたよ」と話す顔に笑みが広がる。庭での野菜づくりはご主人の担当だそうだ。手持ちの家具のソファが映えるようにと階段脇に漆喰壁を設置。2階に近い3段をステップにして階段下の収納へ光を取り込んだ。右側にも窓があり、視界も明るさも良好。ダイニングの照明も夫婦が約30年使ってきたもの。内装と夫婦の持ち物とがよく調和している。正面は書斎コーナー。左側の壁には本棚を造り付けてある。

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