雑誌「チルチンびと」別冊30号掲載 東京都 天音堂 リフォームラボ㈱ 「樹木と菜園のあるエコな家」
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2ページ 工務店の代表自らが 「お客さま代表」としての 家づくり 東京都内でも緑の多い区として知られる世田谷区。駅前の賑やかな商店街を抜けると、ゆったりと落ち着いた住宅街が広がる。そのなかでもひときわ緑あふれているのが上利(あが り)邸だ。 こちらは天音堂(あまねどう)リフォームラボ代表の上利智子さんのご自宅兼オープンルームとなっている。上利代表は以前、経営コンサルティングを行っていたが、建築業を始めたいというお客さまと接し、一緒にこれからの暮らしについて考えていくうちに、自然と家づくりに携わるようになっていったのだという。 お宅にお邪魔してまず、陽だまりが暖かく、空気が澄んでいるのに驚いた。上利邸には5匹の犬も暮らしているが、犬の臭いがまったく気にならない。「自宅をオープンルームにしたことでお客さまに伝えたいことは、空気の違いと私のライフスタイルです。これらのことは訪れたお客さまには何も説明しなくとも感じ取っていただけることが多いですね」。かつて、このオープンルームを訪れたお客さまに「何億円もっていてもこんな空間はつくれない」と褒めてもらったこともあると、嬉しそうに話してくれた。上利代表が考える〝自然の摂理に基づいた暮らし〟が空間に生かされている。 リフォームラボという社名はお客さま代表として建材一つひとつの安全性を研究・追及するという意味をこめて名付けた。例えば珪藻土。今では保温性と吸放湿性のある自然素材として使用されることが多くなったが、天音堂ではまだ一般的ではなかった設立当初から珪藻土に注目し、使い始めていた。そして、一言に珪藻土といっても何百種類もあり、なかには合成樹脂を含んでいて性能を果たさないものもあったりするという。そのなかで、同社で使っている珪藻土は上利代表がさまざまな種類を試した結果によるものだ。「同じ値段だったらよりよい品質のものを、同じ品質だったらより安いものを」と、言葉一つひとつを確かめるように話す上利代表の眼差しからは、今も変わらず物事をとことん追求する姿勢が窺えた。 そして、天音堂という屋号は、家づくりに対する価値観と志に共感した『チルチンびと「地域主義工務店」の会』加盟とともに加えることに。「天(自然)の音に耳をかたむけられるような謙虚な姿勢を忘れないように、という想いを名前に託しました」  

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