雑誌「チルチンびと」85号掲載 東京都 天音堂 リフォームラボ㈱
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208堅牢な木組と大屋根に守られた家天音堂の仕事     東京都三鷹市・S邸,1 切妻の大屋根、深い軒の出に縁側など、昔ながらの民家を思わせるS邸。奥さんが実家の土地を相続したのを機に着手した家づくりは、建築家・瀬野和広さんとの出会いから始まった。かねてより古い農家などに憧れていた奥さんが、テレビで紹介された瀬野さんの作品に惹かれ、設計を依頼。そんな瀬野さんが工事を任せたのが、天音堂リフォームラボだった。両者が出会ったのは天竜の山。「天然乾燥材を求めて天竜に辿り着いた者同士、共感と信頼を感じました」と瀬野さんは言う。 当初、天然乾燥と言われてもピンと来なかった夫妻も、天竜に足を運ぶことで、その価値を理解した。また、天音堂の棟梁伊東さんをはじめ、集まった職人たちの真摯な仕事ぶりに感動した奥さんは、お茶出しのために定期券を買って毎日現場に通ったという。「本当にいいものをつくろうという職人気質を感じました」(奥さん)。「餅まきでもやろうか」というご主人の言葉から盛大な上棟式が実現(204~207ページ参照)。その6カ月後には、開放的な木の香り漂う開放的な室内。天然乾燥材は、内部の細胞が破壊されることがなく丈夫で、色艶も香りも人工乾燥材よりすぐれる。かかわった全員が幸せを感じる理想の家づくり上:縁側は奥さんの要望で。深い軒の出に守られた外縁と通路兼内縁が設けられている。 右:屋根窓が外観のアクセント。軒先には雨樋を設けず、自然な雨落ちを楽しむ。 下:主寝室から茶の間方向を見る。

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